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市報にいがた 令和3年6月20日 2745号 2面・3面

最終更新日:2021年6月20日

田園型環境都市にいがた 田園の力

田園の力

 新潟市は農地を中心とする広大な田園が都市を包み込み、互いに支え合い、調和しながら発展してきた「田園型環境都市」です。今号では、新潟市の田園について考えます。

大きな恵みをもたらす田園地域

イラスト

 田園地域は、米や野菜を作るなど私たちの「食」を支える役割だけでなく、生態系の維持や景観の保全など、さまざまな機能を持っています。
 新潟市はこれまで、田園と都市が持つそれぞれの資源やエネルギーを循環させ、防災力の強化や新技術の創出などに取り組んできました。
 今後もこの循環をさらに発展させることで、より良い生活環境の実現を目指していきます。
 田園地域は新潟市の財産です。持続可能な社会の実現には、将来にわたって田園地域を維持・保全していくことが大変重要です。

田園型環境都市にいがた

資源やエネルギーを循環させ課題を解決するまち

田園型環境都市にいがた

田園の保全のため 私たちにできること

 一見関係がなさそうな取り組みも、環境保全につながっていることが多くあります。環境を意識して暮らしてみませんか。

エコやろてば 検索
このほかの取り組みは

取り組み例 主な効果
自分が暮らす地域で作られた食材を選ぶ
  • 食材の輸送に使う燃料と排出される二酸化炭素の削減
  • 農業の活性化による後継者の増加、耕作放棄地の抑制
  • 大気汚染の低減
有機農業や減農薬の食材を選ぶ
  • 土壌汚染の低減
  • 多くの生き物が生息・生育できる生態系の保全
ごみを減らし、分別をする
  • 資源の有効活用
  • ごみを燃やしたときに排出される二酸化炭素の削減
  • ごみを燃やした灰を埋め立てる処分場の寿命を延ばす

インタビュー

波多野 千代さん
新潟気軽に省エネくらぶ
波多野 千代(はたの ちよ)さん

 ごみの減量はみんなが協力できる身近な取り組みです。家庭ごみを1人1日20g減らすと、新潟市全体で年間約6,000トンのごみを減量できます。
 生ごみの水を切り、茶殻などは庭に埋めてみてはいかがでしょうか。ごみを土に返す体験は、資源の循環を実感できます。ごみがどのように処理されるかを考え、みんなで環境を大切にしていきましょう。

問い合わせ
環境について/問い合わせ 環境政策課(電話:025-226-1365)
スマート農業について/問い合わせ 農林政策課(電話:025-226-1764)
田んぼダムについて/問い合わせ 農村整備・水産課(電話:025-226-1828)
下水資源について/問い合わせ 下水道計画課(電話:025-226-2983)

都市と田園の循環について考えます

災害に強いまちへ 田んぼダム

 田んぼが持つ水をためる機能を利用し、大雨のときに一時的に雨水をため、洪水被害を軽減する取り組みです。
 農家の皆さんの協力により、田んぼの排水口にせき板を取り付けて排水量を調整し、下流にある市街地を守っています。巨額な公共投資が不要で、持続可能な治水対策として注目を集めています。

排水口に取り付けるせき板
排水口に取り付けるせき板

ピックアップ 江南区天野地区の取り組み

 平成27年度に同地区の田んぼ約500枚分で田んぼダムの実証実験を行いました。
 その結果、曽野木地区など近隣の市街地で大雨のときに浸水する範囲を24.6パーセント減少させる効果があることが分かりました。

インタビュー

杉本 克己(かつみ)さん
亀田郷土地改良区
杉本 克己(かつみ)さん

 亀田郷はかつて「地図にない湖」と呼ばれ、洪水に悩まされてきた歴史があります。分水路や排水機場、排水路や田んぼダムなど、いろいろな手段を使って水を管理し洪水を防ぐことが大切だと考えています。
 不法投棄されたごみが排水路を詰まらせることがあります。先人の努力と農家の皆さんの日々の手入れが現在の美しい田園風景を作り出しています。みんなで田園地域を大切にしていきましょう。

スマホで管理も スマート農業

 スマート農業は、ロボット技術や情報通信技術を活用して作業の省力化、作物の高品質化を実現し、これからの農業を支えるものです。若手農家の育成や新たな担い手の確保につながることも期待されています。

農業用ドローン
農業用ドローン

インタビュー

松田 秀之さん
株式会社白銀(しろがね)カルチャー
松田 秀之(ひでゆき)さん

 当社は、田んぼの水を自動給水栓で管理しています。導入前は毎日2回田んぼに出向いて水栓を開け閉めしていましたが、スマホを使ってどこにいても水の管理ができるようになり、空いた時間を枝豆の収穫など別の作業に使っています。毎年耕作面積が拡大しているので、スマート農業の導入による省力化は必要不可欠となっています。

資源を循環 汚泥肥料

イメージ

 私たちが使った生活排水は下水処理場などに集められ、微生物の力を借りてきれいな水に戻しています。発生した汚泥は肥料としてリサイクルされ、植物の生育に役立てられています。

ピックアップ 下水熱を利用した歩道の融雪

 下水資源は肥料のほか、セメント原料、消化ガス発電などさまざまなものに活用されています。その一つが下水熱を使った融雪です。下水道の水温は年間を通して安定しており、冬は外気に比べて温かいのが特徴です。その熱エネルギーを活用し、路面を温めて雪を溶かしています。

市役所前バスターミナル歩道の融雪
市役所前バスターミナル歩道の融雪

命を育む 生き物のすみか

 潟や田んぼ、里山などには、魚や昆虫、野鳥、植物など多くの生き物が生息・生育しています。田園を大切にし美しい風景を保つことで人々の憩いの場となり、観光への活用や教育の場としての利用、地域振興などにつながっていきます。

ダイサギ
ダイサギ。潟や田んぼで見かけることが多い水鳥。魚やカエルなどを食べる

インタビュー

山崎 敬雄さん
NPO法人いいろこ十二潟を守る会
山崎 敬雄(けいお)さん

 十二潟(北区灰塚)は一時期荒れた状態になっていましたが、平成13年から地域で保全活動に取り組み、アサザ(水草)が自生し野鳥が訪れるなど、自然豊かな姿を取り戻しました。
 潟は地域の宝です。毎年、岡方第一小学校の子どもたちと潟舟に乗り、環境調査などを行っています。大切にして次世代に引き継いでいきたいです。

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