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市報にいがた 令和4年8月7日 2772号 1-3面

最終更新日:2022年8月7日

水の恵みと暮らすまち にいがた

問い合わせ 土木総務課(電話:025-226-3025)

水の恵みと暮らすまち にいがた

大河津分水 通水100周年

関屋分水 通水50周年

市長より

中原八一

 日本一の大河・信濃川がもたらす四季折々の自然は、水都新潟を象徴する風景です。この何物にも代え難い景観を災害から守り、安全で豊かな暮らしを支えているのが大河津分水と関屋分水です。

 上流域で大雨が降ったときには増えた水量を2つの分水から直接日本海へ流すことにより、堤防の決壊を防いでいます。また、両分水の働きで下流域の水害が減ったことで越後平野に良質な農地や住宅地が増え、新幹線や高速道路などの交通網の整備にもつながりました。さらに本市の中心部では、河口付近の両岸の埋め立てにより市街地の一体的な発展が進んだほか、全国初の緩やかな堤防「信濃川やすらぎ堤」が整備され、まちなかで水に親しめる貴重な憩いの場となっています。

 今月、大河津分水は通水100周年、関屋分水は通水50周年を迎えます。この節目を契機として、都心エリア「にいがた2km(ニキロ)」の中心に位置する水辺空間のさらなるにぎわい創出に取り組み、水の恵みと共にある「新潟らしい暮らし」を次の世代に引き継いでいきます。

新潟市長

中原八一 書き文字

専門家に聞きました
ここがスゴい! 大河津分水・関屋分水

 水害で苦しんだ先人たちが2つの分水を実現させたことで、安心・安全なまちとして発展した今の新潟があります。
 皆さんの暮らしと分水の関わりについて、この機会に考えてみませんか。

大河津分水コンシェルジュ 樋口 勲(いさお)さん
大河津分水コンシェルジュ
樋口 勲(いさお)さん

ここがスゴい! 1. 水害から新潟を守る

 かつて信濃川下流域では大雨のたびに川の水があふれ、水害が頻繁に発生していました。特に明治29(1896)年に起きた「横田切れ」では、現在の新潟市南区や西区を中心に越後平野の全域が浸水。これがきっかけとなって大河津分水の建設が本格的に始まり、約15年間にわたる工事を経て通水しました。通水後は分水路に水を多く流せるようになり、水害の発生が大幅に減りました。
 また、関屋分水は信濃川河口付近で日本海に流す水量を調整し、新潟市中心部を洪水の被害から守っています。

大河津分水と関屋分水

大河津分水通水前後の信濃川下流域の堤防決壊頻度
通水前(1922年以前) およそ3年に1回
通水後(1923年以降) 0回

ここがスゴい! 2. 泥田が美しい水田に

 昭和20年代ごろまでの越後平野には芦沼(あしぬま)が広がる泥深い田んぼが多く、腰まで水に漬かりながらの作業を強いられていました。収穫される米も「鳥も食べない」といわれるほど質の悪いものでした。
 大河津分水の通水で水害が減り、信濃川下流の水位が低下したことで、流域の水田の排水性が向上しました。さらに各地の土地改良工事によって乾田化が進み、旧西蒲原郡の米の収穫量は通水前の約2倍から3倍に増加。全国有数の米どころと呼ばれるようになりました。

田舟を使った稲刈りの様子(歴史博物館みなとぴあ提供)
田舟を使った稲刈りの様子(歴史博物館みなとぴあ提供)

ここがスゴい! 3. まちの発展を支える

 2つの分水によって水害の危険性が低下し、以前は信濃川の中だった場所が住宅地や商業地、果樹園などとして開発されました。特に河口付近の新潟市中心部では、埋め立てで川幅が約500メートル短縮。両岸を行き来しやすくなった結果、都市が一体化し、本州日本海側唯一の政令指定都市へと発展しました。
 また、信濃川下流域の排水性が向上したことで、上越新幹線や北陸自動車道をはじめとする交通網が発達。工業団地・流通団地の整備も進みました。

大河津分水通水後に埋め立てられた信濃川河口付近の土地(赤色部分)
大河津分水通水後に埋め立てられた信濃川河口付近の土地(赤色部分)

ここがスゴい! 4. 堤防が憩いの場に

 信濃川河口付近両岸の「やすらぎ堤」は、水と近くで触れ合える、全国で初めての緩やかな堤防です。2つの分水の働きで水量が一定に保たれているので、堤防の高さは水面とほとんど変わりません。水際まで芝生があり、堤防上には植栽やあずまや、サイクリングロードが設置され、新潟市民の憩いの場として親しまれています。
 また、行政と民間企業などが連携して「ミズベリング信濃川やすらぎ堤」が開催されるなど、水辺空間の新たなにぎわいの場としても活用されています。

水辺空間がにぎわう「ミズベリング」の様子
水辺空間がにぎわう「ミズベリング」の様子

もっと知ろう 分水の役割

信濃川大河津資料館(燕市)

 映画の上映や模型展示のほか、クイズ形式で治水を学べるコーナーがあります。

開館時間 午前9時から午後4時
※月曜(祝日の場合翌日)、年末年始休館
入館料 無料
問い合わせ 同館(電話:0256-97-2195)

信濃川大河津資料館

関屋分水資料館(西区関屋)

 建設工事の様子が分かるパネルや、周辺に生息する魚を展示しています。

開館時間 午前9時から午後7時 ※11月から3月は午後4時半まで
入館料 無料 
問い合わせ 信濃川下流河川事務所関屋出張所 (電話:025-267-6857)

関屋分水資料館

分水とともに50年

大坂 利夫(としお)さん(中央区信濃町在住・86歳)
大坂 利夫(としお)さん(中央区信濃町在住・86歳)

新潟地震を機に移転を決断

 関屋分水の建設が計画されたころ、私は信濃川左岸近くにあった新潟脳病院(現・新潟信愛病院)の近くに住んでいました。周りは新興住宅地で、私の自宅を含め新築の家屋が多く、近所の皆さんの中には当初立ち退きに反対する方が多くいました。
 そんな折、昭和39年に新潟地震が発生し、津波が信濃川をさかのぼって家の近くまで押し寄せました。これがきっかけとなり、高台で地盤が良く、より安全に暮らせる移転先(新潟競馬場跡地)への転居を希望する人が増え、私も昭和43年に現在の住所に引っ越すことになりました。

関屋分水建設前の様子(昭和40年ごろ)
関屋分水建設前の様子(昭和40年ごろ)

地域の象徴 関屋分水を守る

 移転先には学校やスーパーが近くにあり、バスや鉄道の便もよく、以前よりも暮らしやすくなりました。また、移転前に近所だった方のほとんどが移転先でも近くに住むことになったので、地域のつながりが途切れることはありませんでした。
 移転から50年、分水の堤防ややすらぎ堤があることで、洪水の心配をすることなく生活ができています。地元では分水周辺の環境をより良くしようと、草取りや花壇作りに取り組んでいます。これからも、安全な暮らしと美しい環境が守られるよう願っています。

関屋分水右岸の花文字作り(有明台小学校)
関屋分水右岸の花文字作り(有明台小学校)

8月27日(土曜) 28日(日曜) 水辺の新潟体感イベント

にいがた2km(ニキロ)ロゴマーク

8月の終わりを水辺で過ごしませんか。開催時間など、詳しくはウェブで確認してください。

水辺の新潟体感イベント 地図

通水100周年・50周年記念イベント

水辺の遊具(イメージ)
水辺の遊具(イメージ)

SUP(サップ)体験、ボート乗船体験、川の恵みマルシェ、ほか

会場 信濃川やすらぎ堤左岸 昭和大橋・八千代橋間 ※27日は関屋分水資料館周辺でも実施
問い合わせ 土木総務課

SUP体験(イメージ)
SUP体験(イメージ)

萬代橋誕生祭 ※27日のみ

萬代橋誕生祭の様子

ステージイベント、フリーマーケット、ほか

会場 萬代橋周辺
問い合わせ 中央区役所建設課(電話:025-223-7410)

THE BRIDGE MARKET(ザ ブリッジ マーケット)※28日のみ

THE BRIDGE MARKET(ザ ブリッジ マーケット)の様子

物販・飲食ブース、縁日、ほか

会場 白山公園空中庭園(中央区一番堀通町)
問い合わせ 土木総務課

ハジマリヒロバ ※火曜から日曜開催

ハジマリヒロバの様子

飲食ブース、ワークショップ、ほか

会場 万代テラス(中央区万代3) 
問い合わせ 土木総務課

ミズベリング信濃川 やすらぎ堤 ※9月25日まで

ミズベリング信濃川 やすらぎ堤の様子

飲食店出店、イベント開催、ほか

会場 信濃川やすらぎ堤両岸 八千代橋・萬代橋間
問い合わせ まちづくり推進課(電話:025-226-2700)

歴史博物館みなとぴあ 企画展

「大河津分水・関屋分水と新潟市」展

 2つの分水の役割を、都市機能の整備や治水を巡る歴史を通して紹介します。

日時 8月28日(日曜)まで午前9時半から午後6時 ※月曜休館
観覧料 一般500円、高校生・大学生300円 ※常設展示も観覧可
問い合わせ 同館(中央区柳島町2 電話:025-225-6111)

歴史博物館みなとぴあ 企画展の様子

このほか最新情報はウェブで確認

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