(29-4-1)区役所窓口における説明や書類交付に係るトラブル事例及びこれを防ぐための取り組み
最終更新日:2018年3月26日
(29-4-1)区役所窓口における説明や書類交付に係るトラブル事例及びこれを防ぐための取り組み
調査のテーマ
区役所窓口における説明や書類交付に係るトラブル事例及びこれを防ぐための取り組み
調査として選定した理由
平成28年度の行政苦情審査案件において、苦情申立人と担当者との間で、「説明した」「聞いてない」あるいは「渡した」「もらってない」という区役所窓口でのトラブルに起因した苦情が多く見られた。
そこで、当審査会では、各区役所におけるこのようなトラブル事例及びこれを防ぐための取り組みについて調査し、調査結果を踏まえて、今後の窓口に係るトラブル防止に向けた検討を行うこととした。
所管部署
各区区民生活課(中央区窓口サービス課を含む)、各区健康福祉課
当行政苦情審査会の意見の趣旨
窓口におけるトラブルを防ぐための取り組みについて、各区においては既に情報共有を行ってしっかり対応されているところであるが、レアなケースへの対応についても、それぞれの区だけの取り組みとせずに、市全体で情報共有することにより、予防措置として窓口でのトラブルを無くすあるいは減らすことに繋げてもらいたい。
調査・検討内容
当審査会で各区の区民生活課(中央区窓口サービス課を含む)及び健康福祉課を対象に行った「区窓口におけるトラブル事例及びこれを防ぐための取り組み」についての調査結果の概要は次のとおりである。
*調査結果の整理票については、別紙「窓口におけるトラブル事例及び防止の取り組み」のとおりである。
窓口におけるトラブル事例及び防止の取り組み(PDF:119KB)
1.窓口トラブル事例
○ 区民生活課・窓口サービス課
トラブル事例は13件であり、このうち説明に係るもの(「説明した」「聞いてない」というもの)が10件、書類の交付などに係るもの(「渡した」「もらってない」というもの)が2件、その他のものが2件となっている。
*説明、書類のいずれにも該当する事例があるため、内訳と合計の件数は一致しない。
<主な事例>
・住民票の異動届の際、同一生計・別生計については保留したはずである。
・国保の海外療養費の給付で、渡航前に申請時に必要な書類の交付や説明がなかった。
・国民年金の付加年金にともなう付加保険料に係る説明がなかった。
・電話照会の際、マイナンバーカードの交付手続に必要な書類に係る説明がなかった。
・国保の加入脱退の際に、手続きに必要な書類の説明がなかった。
・国保の加入脱退の際に、任意継続や社保扶養、失業軽減の説明がなかった。
・マイナンバーカードを代理人が手続する際に必要な書類に係る説明がなかった。
・住民票を代理人が交付を受ける際に必要な書類に係る説明がなかった。
・国保の保険料が減免や軽減される場合についての説明がなかった。
・マイナンバーカード交付の手続きで、交付申請書の交付を受けていなかった。
○ 健康福祉課
トラブル事例は21件であり、このうち説明に係るもの(「説明した」「聞いてない」というもの)が13件、書類の交付などに係るもの(「渡した」「もらってない」というもの)が6件、その他のものが2件となっている。
<主な事例>
・心身障がい燃料費助成で、クレジットカード払いの場合に必要な書類の説明を受けていなかった。
・自立支援医療で有効期限切れの際の再認定に必要な書類の説明を受けていなかった。
・高額介護サービス費の申請で、申請を受け付けた(受領した)はずなのに、受け付けられていなかった。
・社会福祉施設の施設利用料の減免の際に必要な書類の説明を受けていなかった。
・児童扶養手当・ひとり親医療費助成について、新規申請時の認定時期の説明がなかった。
・精神障がい手帳再認定の際、年金証書で申請の場合の年金等級の説明がなかった。
・障がい手帳(身体・精神)の交付にあたり手帳交付で受給可能な制度の説明がなかった。
・児童手当の受給者変更で、生計中心者の変更により受給者が変更となる説明がなかった。
・母子寡婦福祉資金の貸付にあたり、申請書の記載や添付書類について説明がなかった。
・母子寡婦福祉資金の貸付にあたり、事後貸付ができないなどの説明がなかった。
2.窓口トラブルを防ぐための取り組み
○ 区民生活課・窓口サービス課
取り組みは25件であり、このうちトラブル事例の対応となるものが13件、トラブル事例はないが予防としての対応になるものが12件となっており、取り組みの25件を見ると、区独自のものが18件(72%)、全市共通のものが7件(28%)となっており、区独自の取り組みが4分の3を占めている。
また、内容としては、確認を徹底するためのチェックシートなどの利用に係るものが8件(32%)、説明をしっかり行うためのチラシなどの配付に係るものが9件(36%)で、これらが大きな割合を占めている。
<主な事例>
1) トラブル事例の対応に係るもの
・マイナンバーカード交付申請書の交付では受領確認のため交付記録票に署名をもらう。
・住民票の異動届の際、同一・別生計を確認し備考欄に記載する。保留のときは届出を返却する。
・国保の海外療養費について相談があった際は、受付手順により説明する。
・国保保険料滞納額について電話による照会には回答しない。やり取りの経過を記録する。
・国民年金の付加保険料(任意)については、パンフレットに記しを付けて渡す。
・マイナンバーカード手続きの電話照会にはチェックリストで確認し必要書類などを説明する。
・国保の加入脱退の際に、手続きに必要な書類を記載したお知らせを渡して説明する。
・国保の加入脱退の際の任意継続・社保扶養等の説明確認のため資格喪失届に確認欄を設ける。
・代理人がマイナンバーカードの手続きする際の必要書類について委任状にチェック欄を設ける。
・代理人が住民票交付の手続きをする際の必要書類について委任状に記載例を表示する。
・国保の加入時に、保険料の減免や軽減についてのチラシを渡して説明する。
2) トラブルの予防に係るもの
・国保の加入脱退・療養費給付、後記高齢者医療の加入・療養費給付、国民年金の加入脱退・年金給付の手続きに必要な書類を説明し、チェックシートを渡す。
・国保の保険料試算では、試算申込書に条件などを記載してもらう。
・出生届、乳幼児減免ごみ袋配付、死亡届、住所異動(転入・転出)などの際、手続きに必要な事項が記載されたチラシを渡して説明する。
・各種手続きの際に必要なものを、チェックシートで確認してもらう。
○ 健康福祉課
取り組みは28件であり、このうちトラブル事例の対応となるものが21件、トラブル事例はないが予防としての対応になるものが7件となっており、取り組みの28件を見ると、区独自のものが24件(86%)、全市共通のものが4件(14%)となっており、区独自のものがほとんどとなっている。
また、内容としては、確認を徹底するためのチェックシート等の利用に係るものが17件(61%)と、大きな割合を占めている。
<主な事例>
1) トラブル事例の対応に係るもの
・心身障がい燃料費助成で、クレジットカード払いの場合の注意事項記載のチラシで説明する。
・自立支援医療で、再認定に必要な書類を案内送付時に蛍光ペンでマークし送付する。
・高額医療サービス費の申請受付時に受付表を申請者に渡す。
・社会福祉施設に係る利用料減免の際に必要な書類を申請者とチェックリストで確認する。
・児童扶養手当・ひとり親医療助成の新規受付時の認定時期について、不足書類案内資料(一覧)に注意書きで記載するほか、受付連絡票を渡す。
・精神障がい手帳の再認定を年金証書で申請の際の年金等級の説明を、申請書チェック欄で確認する。
・障がい手帳(身体・精神)の交付で受給可能となる制度を説明一覧で説明する。
・障がい手帳(身体・精神)、自立支援医療給付、特障・障害児手当、特別児童扶養手当の受付にあたり、添付資料受領の際にチェックシートで確認する。
・母子寡婦福祉資金貸付で、申請書や添付資料をチラシで説明の際チェックシートで確認する。
・母子寡婦福祉資金貸付で、事後貸付ができないなどをチラシや対象経費の例で説明する。
・児童扶養手当の申請に必要な書類を申請時にリーフレットで説明し、対応内容をシステムの経過記録に入力する。
2) トラブルの予防に係るもの
・地域保健福祉センターでの精神障がい医療費助成、肝炎治療費助成、NHK受信料免除、重度障がい医療費助成、母子手帳の受付では、チェックシートにより窓口で確認する。
・特定不妊治療費助成の申請時の添付資料について、コピーし返却する際、申請者と確認する。
・障がい手帳の交付にあたっては、説明もれがないようチェックシートで事前に準備する。
意見の理由
・今回の調査(区の窓口でのトラブル事例及びこれを防ぐための取り組み)を通じて、各区の窓口において、「説明した」「聞いてない」あるいは「書類を渡した」「もらってない」というトラブルが様々な事務で発生していること、それに対してこのトラブルを防ぐためにそれぞれの区で様々な工夫、取り組みを行っていることが確認できた。
・取り組みを見ると、他の区との重複があまりなかった(同じような取り組み例があまりなく、各区における独自の取り組みが多かったこと・・区民生活課(72%)、健康福祉課(86%)・・は注目すべき点である。
・窓口対応においては、「説明した」「聞いてない」あるいは「書類を渡した」「もらってない」というトラブルは避けて通れないものである。
・様々な対応(説明や書類交付など)がある中で、すべてのケースで対応について相手の確認(署名や録音など)をとることは取扱いの件数から難しいものであり、結局、対応のレベルと取扱いの件数を踏まえて、どこで折り合いを付けるかということになる。
・同様の事務を行っている他の区での取り組み、特にトラブル事例を踏まえた上での取り組みは、この折り合いを付けるにあたり参考になるのではないかと思われる。
・各区の区民生活課長あるいは健康福祉課長が定期的に集まる連絡会などを通じて、窓口でのトラブル事例やこれを防ぐための取り組みについて情報共有し、窓口でのトラブルを無くすあるいは減らすことに繋げてもらいたい。
調査の実施期間
平成29年11月30日~平成30年3月15日
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