市長説明

最終更新日:2018年2月23日

平成29年度 地域ミーティング

市長説明

 今回は、「人口減少を踏まえた地域づくり」をテーマに、人口減少をどのように緩やかにし、増やせるところをどのように増やしていくかということを、地域づくりの観点からお話させていただく。
 本市の人口は、これまで増え続けてきたが、現在は横ばいまたは微減という状況になっている。また、国の社会保障・人口問題研究所は、これから減少幅が相当厳しくなってくるという人口予測を出している。人口は、出生数と死亡数という自然動態と、転入と転出という社会動態のプラスマイナスで決まってくる。自然動態は近年厳しくなってきているという状況である。
 一方の社会動態については、昨年は残念ながら転出超過になっているという状況である。現在、2020年の東京オリンピック、パラリンピックで首都圏の吸引力が相当増しているので、これが今年どうなるかということを私どもも非常に注目している。
 自然動態の推移について、これは出生と死亡の差なのだが、お亡くなりになる方が生まれる方を徐々に上回り、自然減は今後拡大し、人口減少が進展していく見込みである。
 社会動態について、県内と県外で分けて記録してある。県内のほうは、転入超過ということで、新潟県における人口のダムの役割は一定程度果たしているが、県外については転出が転入を上回っているという状況である。それをトータルすると、マイナス325というのが昨年の一年間の数字ということになる。
 各区の人口推計を見ると、2025年までは全区で高齢者人口が増加するが、その後は複数の区でお年寄りも減るところが出てくるということである。
 各区の出生数と合計特殊出生率について、まちなかは出生率が低いところが多いという傾向があるが、新潟市も中央区が低い。また、普通は農村部、田園地帯は出生率が高いところが多いが、西蒲区が一番低く、東区がわりと高い。そして、江南区も高い。これは西蒲区に頑張ってもらうしかないというように思っている。
 年齢階層別の理由別転出入についてだが、仕事のため、お住まいのため、学ぶ場のため、家族が移動することに伴って、婚姻などのためというように分けてある。働く場を求めて県外に出る方が一番多い。一方では、働く場を求めて新潟を選択いただいている県内の方も多くいらっしゃる。
 一番多く来ていただいているのは長岡、近隣の五泉、それから県央の三条、佐渡、県北の村上というようなところである。しかし、神奈川、東京、埼玉、千葉といった首都圏に大量に流出している。
 65歳以上の単独世帯の割合を見てみると、高齢者の一人暮らしの方が増えている。
 空き家の率について、空き家といっても、賃貸、売却でとりあえず空いているというものと、放置空き家を含む「その他住宅」というものがあり、問題は後者のほうである。中央区の空き家が圧倒的に多い。
 新潟市の政策アドバイザーである藻谷浩介さんが試算したデータで、2010年と2015年の二つの国勢調査を比較したものがある。2010年のときに0歳だった人が2015年に5歳になる。それぞれの年齢階層別でどうなったかということを計算していくと、減ったり増えたりするが、その傾向がずっと続くと仮定すると、0~4歳の方が45~49歳になるときにどうなるかというデータである。例えば新潟市で100人生まれたとすると108人になる。つまり8パーセント増えるという予測である。市内には新潟大学や新潟医療福祉大学をはじめとする多くの大学があることで20~24歳の部分で人数が増えるので、このピークがあることで何とか持ちこたえられると言える。新潟よりも金沢市や仙台市は大学が多いので、ピークができる。
 特徴的なのは長野市である。信州大学などは松本市が本拠地なので、20~24歳の部分が谷になって後から盛り返すが、50歳になる時には13パーセント減るという予測である。やはり、若者世代の山をいかに高くすることが大事かということである。
 同じ予測を区別で出したものを見ると、一番特徴的なものは西区である。新潟大学があるので、20~24歳でどんと伸びるが、大きく下がって、じわじわと盛り返して45~49歳になる時には19パーセント増える。
 このような人口の状況を踏まえて、新潟市が何をしてきたかということについてお話しする。一つは、国と併せ、まち・ひと・しごと創生総合戦略を作り、「しごと」「ひと」、「まち」の3分野で四つの基本目標を立てたということである。
 「しごと」の分野では、多様な働く場を作るということである。農業特区など、6次産業化、12次産業化などを頑張ろうということである。また、定住人口が増えないけれども、交流人口は拡大できるのではないか。食と農と文化の融合という食文化創造都市新潟を明確にしていく。
 「ひと」の分野では、切れ目なく少子化への支援を行う。出会い、結婚、出産、子育てについても、切れ目ない支援が一番重要である。
 「まち」の分野では、安心して暮らせるまちをつくるということである。健康寿命を延ばす健幸都市づくりの取り組み、さらに地域で医療・介護が受けられる地域包括ケアシステムを構築していく。特に、人口減少を止めるのが大変だが、一方ではまだ新潟市で人口増加が期待できるところもある。新潟市でどこを開発すればいいか、仕事の場、工業団地などをどこに造っていけばいいかということを新潟市全体で考えていく。
 新潟の取り組みの一つとして、新潟暮らし創造運動というものがある。新潟に移住していただく相談会、新潟に来ていただいた方に新潟を体験していただくハッピーターン交流会などを繰り返し行っている。その結果、昨年度の移住相談件数が、1位は長野県だが、新潟県が急浮上して2位に入ったという明るい状況もあるので、さらに新潟暮らし創造運動を頑張っていきたい。
 次に、地域カルテについてである。まず新潟市全体のことは、総合戦略で取り組む。そして区ビジョンまちづくり計画がある。それだけでは地域課題に対応しきれないのではないかということで、地域の特性をしっかりと地域の人に見ていただいて、その特性に応じた対策をとっていくことが重要であるため、今回人口動向を見える化し、補助メニューや先進事例を全部まとめて地域カルテにした。
 新潟の人口増減率を中学校区で見ると、相当大きな差がある。市平均ではマイナス1.1パーセントなのだが、ほとんど横ばいだというところも多くある。しかし、新潟市平均並、それよりもかなり厳しいという地域も点在している。
 年少人口の割合をみると、新潟市平均は12.3パーセントである。それよりも大勢いらっしゃるところは薄い色になっている。大体平均並で、年少人口の方が少ないところも散らばっている。これを中学校区別でグラフにした。一番象徴的なのは新潟柳都中学校区、新潟の港町の原点とも言うべき下町で、四つの小学校が一つに統合ということになった。人口も減少率が大きく、そして年少人口の割合が低い。中学校区で一つ一つ点検しなければならないということがよく分かる。
 そのような地域の状況を踏まえて、これからはどのような取り組みが展開されているのかについてご説明する。一番象徴的なのは、越前浜自治会である。こちらは人口減少が非常に激しく、越前小学校が複式学級になり、やがては統廃合の対象になるという予測数字をお示ししたところ、越前浜自治会の方は、うちはよそからいろいろな人に来てもらって、子どもたちを増やしていく取り組みを本格的に行うから、学校統廃合はやめてほしいという明確な意思を示された。それなら私どもも頑張って伴走するということで、水と土の芸術祭を2009年に行うということを公表したら、自治会のほうも「浜メグリ」を本格的に頑張るということで、いろいろな人にこの文化イベントで越前浜に来てもらって、良いところだということを知っていただき、移住を考えていただくという取り組みをされてきた。 一方では貸すことができる空き家を確保するために空き家を把握して、ホームページで情報を発信した。そして、転入希望の方が来られると、自治会長が自ら面談をして、あなたの希望ならこの空き家がいいのではないかというマッチングもされている。その結果、55軒の空き家が解消し、125人が転入した。児童数はこれまでずっと減ってきたが、これからは移住されたお子様が加わってくるので、児童数が増えるという推計が出ている。
 この素晴らしい取り組みを、ハッピーターンモデル地区の第1号として指定させていただいた。このような支援を新潟市も行っていく。
 先日、第2号として小須戸地区を指定させていただいた。こちらは町屋を活用したまちづくりの活動を積極的に取り組んでいる。閉じていた町屋が商いの場として、あるいは飲食の場としてオープンするようになった。土日には大型バスも視察に訪れるような状況になっている。これを第2号として指定させていただき、小須戸は「まちなか型」、越前浜は「田園型」という形になると思う。今までは実績があったところを指定させていただいたが、これからは、新しく取り組みを始めるという地域も、手挙げ方式で移住モデル地区(移住推進モデル)になっていただこうと思っている。そのために、このような応募条件、支援内容で新潟市も伴走して頑張り、実績に応じてステップアップしていただき、ハッピーターンモデルに指定させていただくということに制度を改正させていただいた。
 次にいろいろな地域の先行した取り組みについてである。秋葉区では、新潟薬科大学があるということを活用して、健康寿命延伸などのセミナーを多く行っている。そして、地域の地域包括連携体制に学生が入ることで、おじいちゃん、おばあちゃんも大変に勇気付けられるという状況のようだ。満足度が非常に高いということが特徴になっている。
 横越地区は婚活を頑張ろうということで、男女に共同作業を行ってもらい、カップルが誕生し結婚までいったら、嫁入り船に乗ることができ、北方文化博物館での結婚式もプレゼントする。住所は問わないというところが良い取り組みではないかと思っている。このような実績が出始めているという状況である。
 北区の取り組みとしては、早通地区の取り組みを例にさせていただいた。早通は健康福祉会館を建設し、そこで健康づくりなどの多彩な活動を行っていただいており、地域のサロンとして、交流の場として活用いただいている。
 東区では、子ども食堂の第1号であるふじみ子ども食堂の誕生の地でもあるということで、子ども食堂を挙げさせていただいた。現在、各地で子ども食堂が立ち上がっている。当初は貧困家庭の子どもへの対策ということだったが、今は範囲を拡げて、みんなで食べる食のおいしさを味わってもらおうというようなことで、いろいろなお子様がおいでいただくようになった。また、おじいちゃん、おばあちゃんがお孫さんを連れてきてくれるところも出始めた。
 現在、あまり食に意識を働かせないために栄養が不足し、フレイルという虚弱状態になってしまうお年寄りが問題になっている。このフレイルの状態になると、要介護に移行していくリスクが大きくなる。子ども食堂がみんなの食堂になって、おじいちゃんおばあちゃんも一緒に食べられるということになると、フレイルの対応もできるのではないかと思っている。
 中央区の山潟中学校区では、一人暮らしのお年寄りのゴミ出しを子どもたちが行っている。雪かきの支援も地域で頑張ってくれており、中学校の生徒が立派な担い手になっているのだという素晴らしい例である。
 南区は庄瀬地域を取り上げた。なかなか若い人が地域活動に参加してくれないということで、20代、30代の若者に呼び掛けて、地域の茶の間を手作りで造ろうという取り組みである。完成後は地域の茶の間になり、出会いの場などにもしていきたいということである。
 西区は晴海ケ丘自治会を取り上げた。こちらも高齢化が進んでいるということで、空き家活用補助金を利用することにした。まずは空き家を把握し、活用できるものを探していただいた。調査研究、コーディネーターも活用いただいた。その結果、空き家の一つは地域の茶の間に改修することになった。これも本当に素晴らしい取り組みだと思っている。
 8区の代表的な事例を紹介させていただいた。地域によってUIJターンに本格的に取り組まなければ大変だというところもあれば、コミ協でも取り組みやすいということで婚活を行っているところ、交流人口を増やすために街並みを良くし、大勢の人に来てもらうということが代表的な取り組みである。また、健康寿命延伸についても、高齢化対応の本当にありがたい取り組みだと思っている。今回、人口ピラミッドを見ていただき、地域の皆さまの取り組みを私どもも伴走しながら支援させていただくので、できる限り地域の特性に対応した事業に取り組んでいただきたい。

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