(26-1-6) 新潟市が差押え不動産に対する滞納税の一部納付による差押え解除に応じない根拠や明確な説明を求めたい
最終更新日:2014年12月9日
(26-1-6) 新潟市が差押え不動産に対する滞納税の一部納付による差押え解除に応じない根拠や明確な説明を求めたい
平成26年 10月29日 苦情申立受理
申立ての趣旨
差押え不動産に対する滞納税の一部納付による差押え解除に応じない根拠や明確な説明を求めたい。
申立ての理由
以下のような流れの中で、新潟市に対して、国税徴収法(以下「法」という。)第79条第1項第2号を採用しない理由や一部納付での差押え解除に応じない理由の明確な説明を求めたが、解除の条件として完納することが市の方針であるため、という以外何ら根拠となる判例・通達・方針決定時の議事録等の資料の提示や明確な説明は得られなかったことから、苦情を申し立てる。
申立人は、その所有する不動産(土地・建物)に対して、第一抵当権者より競売の申立てを受けたが、競売による売却よりも、より市場の実勢価格に近く有利な売却が望める任意売却を希望し、申立代理人に任意売却の相談をした。申立代理人は債務額の調査等を進め、その中で当該不動産に関する固定資産税等の滞納による市の差押えがあることを確認した。
平成26年9月29日に、申立人は申立代理人とともに所管課窓口を訪問し、未納市税等内訳書を取得した。
その後、申立代理人は、第一抵当権者と売却価格や経費の負担等について合意できる感触を得たので、平成26年10月16日に、劣後する差押え権者である市との交渉のため所管課窓口を訪問した。その際担当職員が不在で、申立代理人は、対応に出た職員に、申立人から取得した委任状、債務の確定元本・利息・延滞損害金等が記載されている資料(裁判所より取得)及び不動産鑑定士による当該不動産の鑑定資料(同)を手渡して事情を説明したが、「担当職員ではないので具体的な返答はできない」とのことであったため、その対応職員に担当職員より連絡をもらえるよう伝えた。
またその際に、同様の件について、以前申立代理人から提出した質問書(平成26年8月26日付け)に対する市財務部市税事務所所管課長名の回答書(平成26年9月18日付け)の内容に関する再質問書を提出した。
平成26年10月17日に、担当職員より平成26年10月20日午後1時30分から在庁している旨電話連絡があり、面談のアポイントを取った。その際、担当職員だけでなくその上司も同席することを確認した。
平成26年10月20日午後1時30分に、申立代理人は、所管課窓口を訪問し、各種資料を提示しながら、滞納税額の一部を納付するので、法第79条第1項第2号を適用し、差押えの解除をお願いしたが、差押えの解除には滞納税の完納が条件であり、一部納付による差押えの解除には応じられないと、従来と同様の返答であった。
そして所管課は、再質問書の回答については後日組織として対応することになると説明した。
所管部署
納税課
調査の結果
平成26年11月 28日 決定
申立人及び申立代理人と所管課のやりとりについて、所管課の対応は不適切とまではいえない。
調査結果の理由
苦情申立てに至った事案について、申立人は市税納付に関する一切の件を申立代理人に委任していた。
また、本苦情申立てについても申立人が申立代理人に委任しているので、審査会では本案件は申立人が申し立てたものであることを確認し、申立人自身に利害関係があるものとして調査を進めた。
申立代理人は、所管課に不動産鑑定士の評価書や被担保債権目録等の競売資料を提出し、競売になれば市への配当は見込めないので、滞納税額の一部納付による差押え解除の要求を行った。しかし、所管課からは、差押えられた不動産について、法第79条第1項第2号を採用しない理由や一部納付での解除に応じない理由を聞いても、市の方針としては完納することが解除の条件であるというだけで、それ以外に何ら根拠となる判例・通達及び方針決定時の議事録といった資料の提示や明確な説明が得られなかった。
また、申立代理人が「無益な差押え」にあたるとして、法第79条第1項第2号を適用し、一部納付による差押え解除に応じるべきであると主張していることに対して、所管課は、名古屋地裁の判決が「無益な差押え」か否かは最終的に配当が行われる段階で確定するものとしていることから、この判決を根拠として「無益な差押え」には当たらないと主張し、法第79条第1項第1号を適用して、一部納付による差押え解除には応じることはできないと回答しており、何をもって「無益な差押え」に当たるのかという基準については、判例・通達が出されていないので提示できないとの説明である。
しかしながら、申立代理人は、今回は具体的な数字に基づいた資料を所管課に提示して一部納付による差押え解除を要求しているので、もし、所管課が、一部納付による差押え解除ができないという方針ならば、具体的に納得のいく説明をしてもらいたいと主張している。
双方の主張から今回の苦情申立ての原因は法第79条第1項第2号の「無益な差押え」をどのように捉えるのかということになるが、判例・通達が出ていない「無益な差押え」の法的解釈については、当審査会では判断できない。従って、今回の苦情申立てについても、何を根拠として、どこまで説明する必要があるのか、これ以上の根拠を申立代理人に提示できないものなのか、また申立代理人に対する所管課の説明が明確であったのかどうか等について判断できないので、所管課の対応が不適切であるとまではいえない。
以上のことから、上記の調査結果のとおり判断する。
本苦情申立て関連の別案件について
本案件と同様の別案件について、申立代理人は、所管課へ説明を求めるため、平成26年8月26日付けで質問書を所管課あて提出し、平成26年9月18日付けで文書で回答を受けた。
しかしながら、申立代理人は、回答内容が説明になっておらず、納得がいかなかったため、平成26年10月16日に再質問書を所管課あて提出した。
再質問書については、11月13日の審査会当日に申立代理人から聞いたところでは未だに回答がないとのことであった。
その後所管課から、文書回答について時間を要したが、平成26年11月14日付けで回答書を送付したと聞いたところである。
今回の案件に係る申立代理人の質問と以前からの申立代理人の質問との整理が難しい部分もあるが、今後も申立代理人を含めた市民からの問い合わせに対しては、事情を鑑みながら速やかにかつ丁寧に対応してもらうことを要望する。
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