(2-1-1)契約内容の確認を(市が行うべきところを業者に行わせている)

最終更新日:2020年6月24日

(2-1-1)契約内容の確認を(市が行うべきところを業者に行わせている)

令和2年3月17日 苦情申立受理

申立ての趣旨

 下水道工事において、市が行うべきところを施工業者に行わせているので、契約内容を確認して、それに掛かった費用を支払ってほしい。

申立ての理由

 当社は、当初、下水道工事を1億2,000万円という工事費で請け負ったけれども、最終的に1億8,000万円と、6,000万円くらいの増額になった。現場と当初の設計がまるっきり合わなかったため増工になったものである。
 当初設計では、道路を全面通行止めで行うような簡易な工法だったけれども、地元との話で、「車を日中通す」ということになって、当初の設計書、図面、すべてを全部変更という形にならざるを得なくなった。
 普通であれば、設計を行ったコンサル会社がやる仕事だと思うけれども、それを全部施工業者である当社の方に振られ、実際、7か月くらい掛けて図面と工法、位置関係の確認を、全部当社の方でやったのだが、それについての費用が全くみられていない。施工業者は、図面があって、それに基づいて工事を行うだけであって、その図面を作ることまで仕事ではないと思うが、それを「やって当然」というスタンスで全部当社の方に振られた。
 新潟市工事請負契約約款(以下「契約約款」という。)の19条4項の(1)から(3)、ここに「設計図書を訂正する必要があるものは発注者が行う」と書いてあるが、実際、全部受注者である施工業者がやっているということは、契約に違反しているのではないか。
 それと、契約約款の19条3項に「発注者は受注者の意見を聞いて、調査の結果、これに対して執るべき措置を指示する必要がある」とあり、発注者が段取りして行わなければいけないような書き方をされているけれども、これも受注者である当社の方で、段取りして、業者を見つけて、伺いを立てて、市の方に立会いを求めているような状況である。その立会いも机上だけで済ませているが、今回のような特殊な調査の場合、机上ではなく現地で立会わなければならないのではないか。また、一応調査費的なもの、実費的なものは費用でみてくれるけれども、調査後の成果図、図面等の作成の費用は全くみてくれていない。
 契約約款の内容に合わなければ、契約違反であり、設計書を作るのに、これまでに掛かった費用、その費用を支払ってもらいたい、工事費としてみてもらいたい。

所管部署

下水道部B地域下水道事務所(以下「所管課」という。)

調査の結果

令和2年6月22日 決定

 所管課の対応に非があるとは認められない。

調査結果の理由

 当審査会では、申立人及び所管課からそれぞれ資料を提出してもらい、聞き取りを行った。
 本申立てに係る苦情、納得できないという内容は申立ての理由記載のとおりであり、これを整理すると次のとおりになる。
1 当初設計では、道路を全面通行止めで工事を行う簡易な工法を前提としていたところ、道路を片側交互通行として工事を行うことになったために工法が変更となった。その場合、設計会社が設計をやり直すべきと思われるが、施工業者である申立人が図面の変更等を行わされた。これは契約約款第19条第4項に違反するのではないか。
2 上記の図面の変更等に要した費用を支払ってもらうことができない。
3 受注者である申立人が工事に関する各種段取りをして、業者を見つけて、伺いを立てて、市の方に立会いを求めているような状況であるが、これは契約約款第19条第3項に違反するのではないか。
4 上記に伴う調査費的なもの、実費的なものは支払ってもらえるが、調査後の成果図、図面等の作成の費用を支払ってもらうことができない。
5 上記3の立会いも机上だけで済ませているが、特殊な調査の場合、机上ではなく現地で立合うべき。現地で立ち会ってもらうことができなかったため、事前探査の必要性を理解してもらうことができず、必要な探査費用の一部しか支払ってもらうことができなかった。

そこで、当審査会では以上の5点について検討した。
1について
(1) 所管課は次のように説明する。
1) 当初設計では道路を全面通行止めにして工事を行う予定であったものが、その後、片側交互通行として工事を行うことになるという例はあり得る。本件工事では、そのことによって立坑を掘削する位置等が変更になる等の影響が発生したが推進工法自体に変更はなく、設計の変更には該当しない。
2) 新潟市土木工事共通仕様書で示すように、申立人が作成したのは、元々受注者により作成することが予定されている書面(設計図との対比図、取り合い図、施工図等)であって「設計図書」ではない。よって、契約約款には違反しない。
(2) 契約約款第19条第1項及び第4項に鑑みれば、上記説明は正しいと考えられる。また、上記所管課の説明が誤りであることを示す資料・事情等も見受けられない。
2について
(1) 所管課は、元々受注者により作成することが予定されている書面の作成費用等は当初の請負代金等に含まれるため追加で支払うことはないが、道路の通行止めの変更等に伴って追加の作業等が必要になった分については変更契約を締結することで追加して支払っていると説明する。
(2) この点に関しても、所管課の説明が誤りであることを示す資料・事情等は見受けられない。
3について
(1) 所管課は次のように説明する。
1) 契約約款第1条第3項では、施工方法等については、原則として受注者がその責任において定めることとされている。
2) 受注者である申立人が工事に関する各種段取りをして、業者を見つける等は当初から予定されていることであり、契約約款第19条第3項の問題ではない。
(2) 契約約款第1条第3項に鑑みれば、上記説明は正しいと考えられる。また、上記所管課の説明が誤りであることを示す資料・事情等も見受けられない。
4について
(1) 所管課は2と同趣旨を説明する。
(2) この点に関しても、所管課の説明が誤りであることを示す資料は存在せず、誤りであることを伺わせる事情も見受けられない。
5について
(1) 所管課は、申立人が調査の際に指摘した探査費用については、これを認めて全額を支払っていると説明する。
(2) この点に関しても、所管課の説明が誤りであることを示す資料は存在せず、誤りであることを伺わせる事情も見受けられない。

よって、調査結果のとおり判断する。

このページの作成担当

市民生活部 広聴相談課

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