(2-1-7)燃料費助成の助成額変更の理由を明確に示してほしい

最終更新日:2021年2月10日

(2-1-7)燃料費助成の助成額変更の理由を明確に示してほしい

令和2年10月26日 苦情申立受理

申立ての趣旨

 燃料費助成の助成額変更について、当該利用者に対して理由を明確に示してほしい。

申立ての理由

 障がい施策の「燃料費助成制度」の内容変更について異議があります。
 「燃料費助成制度」について、昨年度(2019年度)まで26,000円上限だったものが、1)本年度から18,000円に減額され、2)来年度以降は10,000円になる、という変更についてです。それぞれ結論が1行だけ書かれた通知のはがきが、本年2月に私あてに届きました。理由も何も示されないので、電話で「どういう理由か」とA区役所に問い合わせたのですが、要領を得ないので、本庁の障がい福祉課に問合せました。
 理由として、タクシー利用券助成との公平をはかったとのことでした。タクシー券の助成上限枚数で移動できる距離と、燃料費助成の上限金額で移動できる距離が平等ではないということらしいのですが、ではそうした事情・理由をなぜ利用者に示さないのかと質したところ、「議会で決まったこと」と言うのみで、最後は「意見として伺っておく」と、「相手にしない」という意味のお役所言葉で切られました。「市議会で決まったこと」と、「利用者への理由の説明」は全く別次元のことであり、障がい福祉課の目線は、利用者の方に向いていないのではないかと感じています。
 2月から、すでに半年以上経過していて、「今ごろ」という感もしますが、新型コロナのことがあり、忙しいであろう新潟市の福祉部に余計な課題を持ち込むことがはばかられて、そのまま放置していたのですが、やはり、何の落ち度もない利用者に対して不利益変更を強いる訳ですから、理由について何の説明もない一方的な通知はおかしいと思う次第です。
 助成金額の変更自体について認めないと主張するものではありません。何の説明もないことが問題だと考えるものです。
 理由について、納得できる合理的な説明があれば、それで済むと思うのですが、何の説明もない、このようなたった1行の結論だけの通知というのは、私たち利用者に対する誠実さに欠け、とても受け入れられません。

所管部署

 福祉部障がい福祉課(以下「所管課」という。)

調査の結果

 令和3年2月8日 決定

 所管課の対応に非があるとは認められない。
 なお、制度変更を行う場合、所管課においては、制度利用者(特に、制度の変更等によって不利益を受ける利用者である市民)に対して、制度変更の理由について可能な限り詳細かつ丁寧な説明を行うよう、きめ細やかな対応を心掛けていただきたい。

調査結果の理由

 当審査会では、申立人及び所管課からそれぞれ資料を提出してもらい、聞き取りを行った。
 その結果、次の事実等が判明した。
1 所管課において所管する制度の変更等があった場合には、通常、市報にいがたに変更内容等を掲載する方法で対象者への周知を図っている。
2 本件で問題となっている障がい者に対する燃料費助成制度の変更(助成額の減額)は、交通費助成制度全般の変更(見直し)の中の一つであり、他にも変更がなされている。大きな制度変更であったため、市報にいがたへの掲載に加えて、過去3年間に当該制度を利用したことがある対象者に対して圧着ハガキでも案内をした。
3 変更の内容が多岐に亘っていたため、圧着ハガキに制度変更の理由まで印刷することは困難であり、また、市報にいがたに掲載する際のスペースがハガキよりも小さかったため、やはり制度変更の理由まで掲載することはできなかった。
  そのため、所管課としては、制度変更を前提として、質問等があれば、区役所もしくは所管課において着実に回答するとのスタンスで手続きを進めることとした。
4 所管課は区役所に対して事前にQ&A等の回答例を配付し、利用者から質問等があった場合に対応することができるように態勢を整えた上、区役所で対応できない場合には所管課が対応することとした。実際、申立人からの質問に関しても、当初は区役所が対応し、その後、所管課が対応しているが、申立人は所管課の回答内容には納得していない。
5 なお、今回の交通費助成制度の変更において、対象者(利用者)にとって不利益となる変更は、本件で問題となっている障がい者に対する燃料費助成制度の変更のみであり、その他については、概ね、対象者(利用者)にとって有利な変更であった。

 以上のとおり、所管課は、所管課から利用者に対して積極的に制度変更の理由を説明するという対応はとらず、上記3記載の理由により、利用者から質問等があった場合に区役所もしくは所管課において回答するという方法で対応している。
 積極的な説明に関しては、所管課は、本件で不利益を受ける利用者だけを対象として、別途、郵便物(制度変更の理由を説明する書面)を送付する、あるいは広告媒体を利用して広報するといった方法をとることにより、利用者に対して積極的に制度変更の理由説明をすることが可能であったと考えられる。
 もっとも、これらの方法(別途の郵便物の送付や広告媒体を利用した広報といった方法)をとる場合には、当然ながら相当な費用やマンパワー等を要することとなるが、所管課としては、限られた財源や人的資源の中で業務を遂行しなければならないことから、取りうる手法に一定の限界があることは言うまでもない。
 このような事情を考慮すると、所管課が上記3記載の理由により制度変更の理由について積極的な説明をしなかったことは、妥当とは評価できないものの、止むを得なかったと言える。
 また、利用者から質問等があった場合の区役所・所管課の回答内容は客観的事実に即し、制度変更の理由を正しく回答していると認められるものであり、したがって、利用者から質問等があった場合の所管課の対応に落度があるとは認められない。
 他方、本件で問題となっている燃料費助成制度の変更(助成額の減額)は、年間の助成額が合計6割以上削減されるという大幅な減額変更であり、利用者への影響は大きく、利用者としては、事後的に変更の理由について説明を受けた場合でも(その説明内容が正しいものであったとしても)容易には受け容れ難いのは当然であり、実際、申立人は区役所・所管課の説明に納得していない。
 所管課としては、単に正しい説明をするのみならず、利用者の心情に沿った応答をするとともに、利用者の観点から理解を得やすいように詳細かつ丁寧な説明をすることが望ましいことは当然と言える。

 よって、調査結果のとおり判断する。

このページの作成担当

市民生活部 広聴相談課

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