(2-1-5)市民税課職員の職務遂行の問題点

最終更新日:2021年1月15日

(2-1-5)市民税課職員の職務遂行の問題点

令和2年10月6日 苦情申立受理

申立ての趣旨

 市・県民税の特別聴取の督促状が法人あてに送付されましたが、職員の仕事の仕方不備と判断されますので、次について調査願います。
 ・再発防止のため、事象発生の問題点、対策、是正措置
 ・令和元年度の市・県民税普通徴収税額が異常に高額
 ・令和2年度の市・県民税決定・納税通知書の年金特別徴収税額と普通徴収税額の按分が平成30年度と違っている

申立ての理由

 年金所得者及び確定申告者について、市民税課から市・県民税特別徴収に係る督促状が法人あてに送付されてきたため、担当者に問い合わせをしました。
 その結果、当事者の仕事の仕方不備と判断し、再発防止のため、事象発生の問題点・対策・是正措置の回答並びに督促取消の提起方法について調査依頼をするものです。
 令和元年度の市・県民税普通徴収税額が異常に高額ですので、併せて調査願います。
 平成29年度 255,300円 平成30年度 254,000円 令和元年度 286,200円
 令和2年度 配当所得申告なし 251,100円 あり 261,400円
 また、令和2年度の市・県民税の徴収は、給与所得に係る特別徴収、公的年金所得に係る特別徴収、普通徴収の3者に按分されていましたが、今回発生した事象解決により、公的年金所得に係る特別徴収、普通徴収の2者に按分されることになり、令和2年度給与所得に係る市・県民税決定通知書(口座振替用)が9月15日に発行されました。
 按分が平成30年度と違っており、地方税法第321条の7の2(公的年金等に係る個人の市・県民税の特別徴収)が遵守されていないと推察しますので、調査願います。
         平成30年度 令和元年度 令和2年度
年金特別徴収税額 126,600円 105,400円  82,000円
普通徴収税額   127,400円 180,800円 179,400円

所管部署

 財務部市税事務所市民税課(以下「所管課」という。)

調査の結果

 令和3年1月12日 決定

 所管課の対応に非があるとは認められない。

調査結果の理由

 当審査会では、申立人及び所管課からそれぞれ資料を提出してもらうとともに、所管課から聞き取りを行った。
 申立人の苦情の内容は市民税課の対応と課税額、特別徴収等の税額に対するものであるが、これを整理すると次のとおりになる。
1 申立人は法人(以下「本件法人」という)の代表者であり、従前は申立人の給与から市・県民税を特別徴収していなかった。ところが、令和2年度は、突然、特別徴収に係る督促状が本件法人あてに送付された。これは、担当職員が事務処理等を誤ったためと考えられる。
2 令和元年度の市・県民税普通徴収税額が、平成29年度・平成30年度の金額に比べて異常に高額であり、課税額が間違っていると思われる。
3 令和2年度の市・県民税は、結果的に公的年金所得に係る特別徴収と普通徴収の二種類の方法で徴収されることになったところ、公的年金所得に係る特別徴収の金額と普通徴収の金額の比率が、平成30年度の比率と大きく異なっている。これは公的年金等に係る個人の市・県民税の特別徴収税額の計算方法が間違っていると思われる。

 そこで、当審査会では上記1~3について検討した。
1について
(1) 所管課は次のように説明する。
 1) 本件法人は、申立人の給与の支払いをする際に所得税を源泉徴収しているところ、地方税法では、その場合、市・県民税についても特別徴収することが定められている。すなわち、本件法人は法律上市・県民税を特別徴収する義務を負う。
 2) 他方、本件法人が所得税の源泉徴収を行うのは申立人1名についてのみである。このような小規模事業者が市・県民税について特別徴収する場合、事務負担が大きい。 そこで、新潟市では、従前から本件法人のような小規模事業者については、市・県民税の特別徴収義務を課さない、特別徴収ではなく普通徴収とする取扱いを行ってきた。
 3) 令和2年度については、担当職員の引継ぎが十分でなかった面があり、本件法人については上記の取扱いを行っていなかった。
 4) 令和2年5月18日、本件法人に対し、申立人の給与所得に係る市・県民税を特別徴収とした令和2年度市民税・県民税特別徴収税額の決定通知書及び納付書を郵送しており、納付期限までに特別徴収税額の納付がなされなかったため、督促状を送付した。
 5) 上記市民税・県民税特別徴収税額の決定通知書及び納付書を郵送した時点で、本件法人から所管課に対して異議もしくは連絡等がなされれば、市・県民税を特別徴収とする取扱いを変更することができたが、本件法人からは連絡等がなかった。
 6) 督促状送付後、申立人から異議が申し立てられたため、本件法人については従来どおり市・県民税の特別徴収義務を課さないことに変更した。
(2) 上記1)について、地方税法第321条の4によれば、所得税を源泉徴収する事業者は、市・県民税についても特別徴収する義務を負うものであるから、上記2)の新潟市の取扱いは、法律を超える特別なサービスといえる。
(3) 上記4)記載の令和2年5月18日付決定通知書及び納付書について、申立人は受け取っていないと説明するが、同決定通知書及び納付書は機械的に発送されており、返戻がなかったことから、所管課の記録上も「送付されたもの」とされている。
(4) 申立人の立場から見て、所管課が従前の取扱い(市・県民税を普通徴収とする取扱い)を継続してくれた方が望ましいと言えるが、同取扱いが法律を超えるサービスであることに鑑みると、所管課が従前と違う取扱いをしたことをもって「非がある」とは認められないものである。
 また、上記(3)から、所管課が督促状を発送したことについても「非がある」とは認められない。
 なお、所管課においても、今後このような対応にならないよう是正の措置を講ずるとのことであった。

2について
2については、令和元年度の普通徴収税額に関するもので、その決定通知が令和元年6月14日付けで送付されているものであることから、新潟市行政苦情審査会規則第11条第1項第3号(苦情の申立ての原因となった事実のあった日から1年を経過している場合)に該当し、調査対象外となるものである。

3について
(1) 所管課は次のように説明する。
 1) 税額控除がある場合、年金特別徴収税額から控除されることになる。他方、普通徴収税額は、年税額から年金特別徴収税額を差し引いて算出する。したがって、年税額が同程度であっても、一方の税額控除が高額で、他方の税額控除が少額のようなケースでは、特別徴収の税額と普通徴収の税額の比率が異なることとなる。
 2) 申立人の令和2年度の税額控除の金額は配当にかかる税額控除がある分、高額であり、53,810円であった。これに対し、平成30年度の税額控除の金額は2,500円であった。
 3) この結果、平成30年度の年金特別徴収税額は令和2年度に比べて高額であり、その分、普通徴収税額は平成30年度の金額が令和2年度に比べて低額であった。
(2) 上記説明に鑑みると、申立人の令和2年度の市・県民税の特別徴収の金額と普通徴収の金額の比率が、平成30年度の比率と大きく異なっていることは当然であり、計算方法等に疑義等はない。

 よって、調査結果のとおり判断する。 

このページの作成担当

市民生活部 広聴相談課

〒951-8550 新潟市中央区学校町通1番町602番地1(市役所本館1階)
電話:025-226-2094 FAX:025-223-8775

このページの作成担当にメールを送る

本文ここまで