(4-1)退院・処遇改善請求審査の苦情と調査/改善の申し立て
最終更新日:2022年10月18日
(4-1)退院・処遇改善請求審査の苦情と調査/改善の申し立て
令和4年4月1日苦情申立書受理
申立ての趣旨
退院・処遇改善請求審査について調査及び改善をお願いしたい。
申立ての理由(要約)
令和3年2月◯日付けで提出し、同年2月◯日付けで受理された「退院・処遇改善請求書」に関する一連の対応において
1.退院・処遇改善請求書の受理から令和3年4月◯日付けで発出された、退院・処遇改善請求結果通知書を発出するまでの期間が、通常の期限より遅すぎる対応となっていた。
2.令和3年4月◯日に開催された新潟市精神医療審査会は、規定を満たさない3人で開催された。
3.同日の審査により発出された「退院・処遇改善請求結果通知書」により審査結果の通知を受けたが、何を審議され、自分にはどのような課題があるのかなど、十分な説明がないまま入院を継続させられた。適正化を希望する。
所管部署
保健衛生部こころの健康センター(以下「所管課」という。)
調査の結果
令和4年7月8日決定
所管課の対応に非があるとは認められない。
調査結果の理由
前提として、本件苦情申立書における内容に鑑みると、申立人は、申立ての理由に要約し記載されている3点について、調査及び改善を求めるものであると理解できます。
それを踏まえ、当審査会で確認したところ、申立ての理由として記載されている3点のうち2及び3に関しては、精神保健及び精神障害者福祉に関する法律(以下「精神保健福祉法」という。)に基づいて設置された、新潟市精神医療審査会の運営及び退院請求に対しての審査結果に関する内容であることから、当審査会では、その適否について判断する立場にありません。よって、申立ての理由として記載されている3点のうち2及び3は新潟市行政苦情審査会規則第11条第1項第5号(調査することが適当でない場合)に該当するため、調査しないこととしました。
そこで、当審査会では、申立ての理由として記載されている3点のうち1について調査することとして、所管課から資料を提出してもらい、申立人から聞き取りを行いました。
調査の結果、以下のような事項が認められました。
1.関連する法令等の規定の内容について
(1)精神保健福祉法では、精神科病院に入院中の者等は、政令指定都市の市長に対し、当該入院中の者を退院させ、又は精神科病院の管理者に対し、その者を退院させることを命じ、若しくはその者の処遇の改善のために必要な措置を採ることを命じることを求めることができると規定されている。
(2)上記請求がされた場合には、政令指定都市(新潟市)の市長は精神医療審査会(新潟市精神医療審査会(以下「本件審査会」という。)に審査を求めなければならず、その審査結果は本件審査会より市長に通知され、市長は請求者に審査結果を通知することとされている。
(3)旧厚生省(現厚生労働省)が通知した精神医療審査会運営マニュアルでは「請求を受理しておおむね1か月、やむを得ない事情がある場合においてもおおむね3か月以内に請求者に対し、審査結果及び理由の要旨を通知するよう努めるものとする」と規定されている。
(4)なお、本件審査会は、退院等の請求の審査を行うに当たり、事前に退院等の請求をした者及び当該患者が入院している精神科病院の管理者(代理人を含む。)の意見を聴かなければならないと規定されている。
2.本件に関する経過について
(1)令和3年2月◯日、申立人がA病院に「医療保護入院」として入院。
(2)同月◯日、申立人が本件審査会の事務局を担当する所管課に電話し、精神保健福祉法第38条の4に基づく退院等の請求を行った。
(3)同月◯日、所管課が、申立人が発送した「退院・処遇改善請求書」を受理した。
(4)同日、所管課職員が申立人に電話し、手続きについての説明を行うとともに「退院・処遇改善請求確認書」を提出するよう依頼した。後日、所管課は本人が作成した「退院・処遇改善請求確認書」を受理した。
(5)日程調整の結果、本件審査会による意見聴取日が3月◯日に決定した。他に複数の請求を受理していたことや審査会委員と主治医(精神科病院の管理者の代理人)との日程調整が難航したため、意見聴取実施まで日にちを要した。
(6)同年3月◯日、審査会委員の面接による意見聴取が行われた。
(7)同年4月◯日、本件審査会が開催され、審査の結果、審査会委員全員一致で、「(退院請求について)現時点では引き続き医療保護入院での治療の継続が必要である」と判断された。
(8)上記審査結果を受け、所管課は申立人に対し、市長名で、同日付け「退院・処遇改善請求結果通知書」を郵送(発信)した。
上記によれば、厚労省の通知では、精神科病院に入院中の者等から退院請求等がされた場合には、請求を受理してからおおむね1か月以内に請求者に対して審査結果等を通知するよう努めるとされているにもかかわらず、本件では所管課が請求を受理してから請求結果通知書が送付(発信)されるまで56日を要しています。
もっとも、同通知では、やむを得ない事情がある場合においては、請求を受理してからおおむね3か月以内に審査結果等を通知するよう努める。ともされているところ、本件に関しては、
(1)他に複数の請求を受理していたこと。(したがって、事務処理等に時間を要する状況にあったこと)
(2)審査会委員と主治医(精神科病院の管理者の代理人)との日程調整が難航したこと等の事情が存したことが認められます。
これらの事情は、請求受理から1か月以内に結果通知をすることが困難となるやむをえない事情であると評価できます。そして、所管課は請求受理から56日後に(厚労省通知によるやむを得ない事情がある場合の努力目標である3か月以内に)審査結果等を通知(発信)しています。
よって、行政苦情審査会としては、所管課の対応に非があるとまでは言えないと判断します。
なお、申立人は、自分にはどのような課題があるのかなど、十分な説明がないまま入院を継続させられたと主張していますが、退院等の請求を行う者からすれば、一日でも早く審査結果を知りたいと思う気持ちは察することができます。
所管課におかれましては、退院等の請求者の心情に配慮し、退院等の請求を受理してから審査結果を通知するまでの期間について、可能な限り短縮できるよう事務処理を行っていただけたらと思います。
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