(4-2)コロナワクチン専用コールセンター並びに所管課への苦情
最終更新日:2022年10月18日
(4-2)コロナワクチン専用コールセンター並びに所管課への苦情
令和4年4月21日苦情申立書受理
申立ての趣旨
コロナワクチン専用コールセンターに接種券が届かない旨の問い合わせを行った際、行政のミスが判明したにも関わらず、謝罪の言葉もなく、自分たちに責任はないかのような説明を受けた。コールセンター職員の対応の改善を望む。
また、当該コールセンターを所管する部署の、コールセンターに任せておけばよいという危機感の無さに加え、クレーム苦情を安きにとらえている。クレームに対する意識が低いのではないか。
上記を踏まえ、苦情を受理してから解決までのプロセスにおける、改善前と改善後の詳しい内容を示してほしい。更に、立場のある方からの説明と謝罪がほしい。
申立ての理由(要約)
令和3年8月に2回目のコロナワクチン接種を職域接種により受けた。令和4年3月に入り、2回目の接種を同時に受けた会社の同僚には3回目の接種券が届いたが、私には届かなかった。その後、2週間ほど待っても届かないため、コロナワクチン専用コールセンターに問い合わせをしたところ、接種券が届かないのは郵便による事情か、届いた後の誤廃棄しかありえないと取れる内容の説明だった。その際、届かない理由を調べてほしい旨依頼した。
2日後、コールセンターから連絡があり、2回目接種の医療機関からデータが届いていなかったことから、3回目接種券を発送していないことが判明したとの内容であった。誰が悪いのかと問うたところ、「私たちのミスでもなく、あなたのミスでもない、2回目接種を担当した医療機関からのデータ送付漏れが原因」との回答であったが、謝罪もせず他人のせいにしていることが信じられなかった。この時、接種券の再発行を依頼したが、接種券が届くまでに2週間かかるとの説明であった。なぜ素早い対応をしないのだろうと疑問に思った。
その後、2週間経っても接種券が届かないことから再度コールセンターに問い合わせをし、調査をお願いしたところ、コールセンターからの説明で、保健所職員の失念により再発送していなかったことが判明した。
保健所職員のミスにもかかわらず、コールセンターオペレーターの説明は「職員の失念」の一点張りで重大なミスを隠蔽しているのではないかと感じるとともに、保健所からの謝罪、説明などが一切ないことに違和感を覚えるとともに納得がいかない。
所管部署
保健衛生部保健所保健管理課(以下「所管課」という。)
調査の結果
令和4年7月25日決定
所管課の対応に非があるとは認められない。
調査結果の理由
当審査会では、所管課から資料を提出してもらい、申立人から聞き取りを行いました。調査の結果、以下のような事項が認められました。
1.令和3年8月、申立人は職域接種の方法により、新型コロナワクチン2回目接種を受けた。
2.令和4年3月1日頃、2回目接種を同時に受けた勤務先の同僚に3回目接種券が届いたが、申立人には届かなかった。
3.同月13日、3回目接種券が届かないため、申立人はコロナワクチン専用コールセンター(以下、「コールセンター」という。)に問い合わせた。その際、オペレーターから説明を受けたが、当該説明について、申立人は「接種券が届かないのは郵便による事情か、届いた後の誤廃棄しかありえない」との内容であると受け取った。これに対し、申立人は届かない理由を調べてほしい旨を申し入れた。
4.同月15日、申立人はコールセンターから連絡を受け、「2回目の接種医療機関からデータが届いていなかったことから、3回目接種券を発送していないことが判明した」との趣旨の説明を受けた。申立人がオペレーターに対し、「誰が悪いのか」と質問をしたところ、「私たちのミスでもなく、あなたのミスでもない、2回目接種の担当医療機関からのデータ送付漏れが原因」との回答であり、その際に謝罪もなかった。また、この時、申立人は3回目接種券の送付を依頼したが、接種券の到着(配達)まで長くて2週間を要するとの説明であった。
5.同月31日、接種券の再送付を申し入れてから2週間以上が経過しても3回目接種券が届かないことから、申立人がコールセンターに問い合わせたところ、オペレーターから「確認するが日数を要する」との説明がなされた。これに対し、申立人は「発送したのか否か、発送したのであればなぜ届かないのか経緯を詳しく説明してほしい」旨を申し入れた。
6.同年4月2日、申立人はコールセンターから連絡を受け、「保健所職員の失念により発送されていなかった」との説明を受けた。申立人は3月31日の電話の際に詳細な経緯説明を求めていたが、この日の説明は「職員の失念」との説明のみであった。
7.この間、申立人が連絡を取り、又は連絡を受けたのはコールセンターのオペレーターのみであり、所管課の責任者等からの直接の連絡はなかった。
8.申立人は、本苦情申立と併せて、「市長への手紙」として本申立てと同趣旨の書面を提出しているところ、所管課から申立人に4月28日付けで回答の書状が発送されている。同書面には謝罪の文章とともに経緯の説明等が記載されており、申立人も、当該説明内容については納得している。
9.他方、申立人のケースと同じ理由(接種データの送付漏れ)で接種券が発行されない事案は、一定数発生している。そのため、所管課としてワクチン接種記録システムのチェック機能を用いた修正作業も行っているが、全ての事案を確認することはできず、本件のように本人からの申告によって発覚するケースも多い。
10.なお、接種券の未発行が発覚した場合には所定の手続きを経て接種券を発行することになるが、本件については所管課担当者のミス(失念)のために接種券が発行されなかった。所管課担当者が失念したことの理由の一つとして、1回目・2回目接種券発行時と同じ書式を用いて事務作業を行っていたことがあげられる。そのため、本件が発生したことを受けて、所管課では事務作業を行う際の書式を見直している。
以上によれば、所管課は、申立人からの連絡を受けて、本件に関する経緯等を説明する「市長への手紙」の回答を速やかに送付していること、担当者のミス(失念)のために申立人に対する接種券の発行がされなかったことを受けて、事務作業を行う際の書式を見直していることが認められます。加えて、申立人は、「市長への手紙」の回答内容に納得しているとのことです。これらの事情を考慮すると、所管課が苦情等を安きに捉えているというようなことはなく、苦情等を踏まえて、適切に対応していると考えられます。
他方、所管課が、3月13日と同月15日のコールセンターにおける通話記録を確認した結果、申立人に対応したコールセンターのオペレーター側に不十分な対応が見られたとして、追加研修を実施したとしています。
新型コロナウイルス感染対策としてワクチン接種の体制を構築・運営することは、膨大な作業量を要する業務であることは言うまでもありません。新潟市のような大規模地方自治体がワクチン接種事業を実施する場合、市民からの問合せ等に関しては、自治体職員自らがその全てに対応することは困難であり、業者に委託してコールセンターを設置したうえで対応することは合理的であると考えられます。もっとも、その場合であっても、コールセンターで市民からの問合せ等に対応するオペレーターが適切に対応するよう、行政(所管課)として可能な限りの指導等を行うことが望まれることは当然です。但し、コールセンターも大規模なものとならざるを得ず、オペレーターの数も多いこと等に鑑みると、指導等には一定の限界があると考えられるところです。
これらの事情に鑑みると、コールセンターのオペレーターの対応に関して、直ちに不備があるとまでは言えないと判断します。また、市民からの問合せ等をコールセンターに任せることについては危機感がないと評価することはできないと考えます。
よって、行政苦情審査会としては、所管課の対応に非があるとまでは言えないと判断します。
なお、新型コロナワクチンに関しては市民の関心が高く、同時にワクチン接種について不安を抱いている市民も多いと考えられます。特に、ワクチン接種を希望する市民に届くはずの接種券が届かないというような事態が発生した場合には、大きな不安に苛まれると考えられます。
所管課におかれましては、今回の苦情申立てをきっかけに、コールセンターを利用する市民が不安や不信、不快感等を抱くことが無いよう、今後も可能な限り指導等を行っていただくとともに、接種券の発行事務に万全を期すよう要望いたします。
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