江南区意見交換2
最終更新日:2017年2月1日
平成28年11月13日(日曜)午前
質問1
無関心層への周知について
発言者
過去3年の間に健診を受けた人が5割もいないということに、私はあ然とした。無関心の方にこういった施策をいかに浸透させるかということが非常に重要だと思う。例えば、新潟市ホームページなどを見るとさまざまなことが書いてあるが、高齢者の方は毎日ホームページを見るということもないし、市報にいがたには部分的にしか載っていない。そういった無関心層にどのような広報、周知といったことを行う予定なのかということをお聞きしたい。
市長
無関心層にどのように情報を見てもらうか、またそういった気になってもらうかというのは非常に難しいところである。市ではまず、地域のまとめ役の皆様、あるいは保健福祉などに関心のある皆様に、地域の健康度というものをお届けしていくということを本格的に行わせていただきたい。これまではなかなか医療データ、介護データがなく、あるいは個人情報の関係で出させないというような部分があったが、先ほどお話しさせていただいたように、現在、81万市民のうち、30万くらいのデータが出てきた。協会けんぽを入れるともう20万ほど増えるので、かなりしっかりしたデータをお届けできる。地域の方、コミュニティ協議会などの方々、社会福祉協議会も含めてデータをお届けさせていただき、自分の地域はこういうところが非常に心配だ、ここを改善していけばもっと健康になれるというデータをしっかり見ていただいて、そこから行動を起こしていただくということを、まとめ役のような方にはどんどんお願いしていきたい。
無関心層をどうするのかということはなかなか難しいのだが、例えば公民館、図書館など不特定多数の方が行きやすいところで健診のお勧めの資料、チラシなどをしっかり見ていただく。そして、何年も受診していない方には受診をお勧めする資料を自宅にお届けする。なおかつ心配な場合には保健師が出向くといったことも考えていきたい。全戸に足を運ぶのは大変だが、データをしっかり見ていけば、あのお宅は3年連続健診を受けていないということが分かってくるので、そのようなお宅から健診を受けていただくようにお勧めしていくというような、地道な繰り返しをしていく必要があると思っている。
学校でも健康というものを子どもたちに伝える機会があるので、子どもたちが家に帰ったら、お父さん、お母さんに、「健診は受けているの?」ということを聞いてもらうということも有効ではないかと思っている。皆様からも良いアイディアがあればぜひ聞かせていただいて、できるかぎり実践していきたい。受診率38パーセント程度の江南区がトップだということは本当に心配なことである。行政はなかなか言いにくいが、健診を受けない者は義務を果たしていないということもお医者さんなどの専門家から言っていただく機会も作っていきたい。
質問2
高齢者施設について
発言者
私は自宅で96歳の母親を介護しており、以前に、施設に申し込んだら50人待ちで、空くのがいつになるか分からないと言われた。高齢化がどんどん進んでくると、施設を造っても間に合わないという状況である。その辺をどのように考えているのかお聞きしたい。
市長
ご指摘のとおり、特別養護老人ホームをはじめとしてさまざまな施設で入所希望者が入所待機となっている状況である。新潟市は特別養護老人ホームの整備を5年間前倒しで実施し、国の目標を達成しているのだが、それでも入所待機は続いている状況である。今後、特別養護老人ホームなどの施設を造り続けていくと、介護保険料が上がっていくことになり、新潟市は今でも政令市の中で保険料が一番高いグループなので、これも難しい。そのような中で、国は2040年になると病院にも施設にも入れず、今の住宅あるいは医療・看護・介護チームの状況ではとても在宅では死ねないということで、死に場所がない人が49万人になるという予測を出している。これを手をこまねいているわけにはいかない。在宅死のデータを見るとすでに異変が起きている。これまで在宅死の率が一番高かったのは長野県だった。これは長野県は医療を受ける機会が少ないという地形的に厳しい部分もあるが、家族の力、地域の絆が強いということで在宅死を可能にしていた。しかし近年では、東京の在宅死亡率が一番高く、その中の半分が孤独死ということで、49万人というのが積み上がってきているということを実感せざるを得ない数字になっている。新潟市でも孤独死というのが残念ながらゼロではないが、我々はこれをなくしていきたい。
そのためには国が方向を示している在宅で医療・看護・介護が受けられる、看取りまでやっていただけるというチームを作っていく必要がある。新潟市の場合は空白区はないが、区の中を子細に見れば、このエリアは空白だというところが残念ながらある。江南区の状況については区長から説明させていただく。
区長
在宅医療のネットワークについて、江南区は圏域として三つに分かれている。一つは亀田を中心とした地域、二つ目は大江山と横越を中心とした地域、三つ目が曽野木と両川の地域となっており、曽野木と両川の地域はもともと医療機関が少ない地域で、ネットワークで中心となってくださる医療機関がまだ見つかっていなかった。しかし、曽野木・両川地区だけではカバーできないだろうということで、現在、亀田第一病院が手を貸そうということで話が進んでいるので、そのような形でカバーしていきたいと考えている。
在宅での支援をどのように見ていくかということについては、現在、江南区で65歳以上の高齢者は1万9,000人いらっしゃるが、65歳から74歳の方はほとんどお元気で、介護保険のサービスを受けている、入院されている方もほとんどいらっしゃらない。問題なのは75歳を超えてからということで、その数は1万人である。介護保険のサービスを受けている方は、ケアマネージャーがいるので、大体の状況は分かっているが、サービスを受けていない方の中で健康診断を受けていない方がいらっしゃるということで、今年、大江山地区をモデルに介護保険のサービスを受けていない方について、民生委員に回っていただいて、そのうえで問題がある人は保健師から訪問させていただくことにしている。来年度から徐々に全区的に実施していくので、その中で「健康診断をきちんと受けていますか」、「問題がありませんか」と確認をしてもらう。健康診断をせっかく受けたのに、お医者さんへ行かなければだめですよと、フォローもしていきたいと考えている。
質問3
市の無料健診の検査項目を増やしてほしい
発言者
私も市の無料健診を受けているが、昔は健診の項目として心電図や眼科も無料で受けられ、血液検査の項目ももう少し多かったと思う。市の財政が逼迫しているので、その分を削ったのかもしれないが、そういった検査項目をもう少し増やしていただきたい。
市長
確かに市も限られた財源で実施している部分があり、旧町村のほうが手厚かったというお話も聞き、そういう中で受診率が非常に低下している西蒲区ではミニドック集団健診という昔のやり方を復活させたりしている。今後、胃がん患者が多いという中で、やはりバリウムだけではだめなのだということなど、新潟市に合ったできるだけ効果的な方法を模索しながら改善を図っている状況である。
超高齢社会は待ったなしの状況になってきた。これからは新潟市役所の福祉部と保健衛生部を徹底連携させようということで、今年度から連携担当理事を置いた。理事からごあいさつを兼ねて説明させる。
医療・介護連携担当理事
3年未受診の方のデータを出したが、実は国保被保険者の中には、5年未受診の方も3割くらいいらっしゃる。そういう方にどのようにアプローチしたらいいのかということで、3割の方は全く健康なのかというと、そうではない。一部には、お医者さんにかかっているから健診は受けなくていいのだと考えている方が多いと思う。お医者さんにかかっているというのは、疾病を治療するためにかかっているのであって、健診の目的は早期発見、早期治療であり、目的は全然違う。例えば血圧の薬をもらうためにお医者さんに通っている方でも、1年に1度は健診を受けてもらうことで、別の疾病を見つけることが可能である。例えばがんなどは5年生存率が全く違ってくる。
県のデータを見ると、さまざまながんがあるが、健診で発見したときと自覚が出てから発見した場合では効果が全然違うので、その点をもう少し丁寧に説明しなければならないと思っている。データもまだ十分ではないところがあるので、今後、健診を受けてもらって、受診率が向上したり、健康寿命が上がっていくと、どういった費用対効果が表れるのかといった、クロス集計のようなものも行いながら、毎年、データを蓄積して皆様にお届けし、それを家庭、地域、職場の中で話し合っていただき、健康寿命を延伸するということを取り組んでいきたいと思う。こんなことをやるといいのではないかといったアイディアがあれば、提案していただければありがたい。
質問4
健診後の食事提供について
発言者
人間ドックに行くと食事がついてくる。市の健診でも、減塩の料理の提案がされ、それを実際に食べてみることができたら呼び込みになるのではないかと思った。保健師さんたちと一緒にさまざまな生活習慣予防の提案をさせていただくのだが、勉強に来てくださる人数を集めるのがとても大変である。健康診断には朝食を抜いて出かけていっているのだから、ちょっとしたおしのぎが出たらとてもうれしいと思ってお話を伺っていた。
市長
今後、新潟の持っている農業の力、大地の力、食の力をさまざまな分野に活用していきたいと思っている。すでに教育の部分ではすべての小学生に農業体験と食育を受けていただくということを行っている。子どもたちに食育をすると親を教育してくれるという大変なメリットもある。現在、幼稚園のほうでは子どもたちが家庭から野菜くずを持ってきて、その野菜くずをボカシなどで良い肥料にして、元気な野菜を育てるという菌ちゃん野菜づくり運動というものを広めている。これがありがたいのは、子どもたちがそのような活動をすると、若いお母さん、お父さんが来てくれて、食育のことを一緒に学んでくれる。大変恐縮な言い方だが、若いお母さん、お父さんは食育の情報が届けにくい方たちなので、幼稚園、保育園の活用というのはそういう部分でも効果があるという気がしている。
新潟は6次産業に加えて子育て、教育、さらに福祉、これは農福連携ということでだいぶ始まっているが、一番頑張ってもらいたいのは、医療・介護の部分に食の力を何とか及ぼしたいということである。しかし、介護の施設が地元の良い食材を使ってこんな減塩食を出しているというような取組みがほとんど聞かれない。このあたりを巻き込んで、介護施設、病院というところから食を考えていただくという取組みも進めていきたい。
このために人に集まっていただくのは大変だが、地域の茶の間のようにこの日は人が集まるというところに、今後、保健師などを派遣して、健康の相談も受けていただき、その保健師が健康のことについてお話をさせていただくということもどんどん行っていきたい。保健師の力量というものも、今の時代の要請に添った形でつけていただく。昨年は尼崎市のカリスマ保健師といわれる女性に新潟市に来ていただいて、保健師と幹部職員を指導していただいた。そのカリスマ保健師は、普通の保健指導は「ましょう」の保健指導だとおっしゃっていた。「ましょう」というのは塩分を減らしましょう、こうしましょうというような提案だけで、それではなかなか人間の心は動かない。そういうことではなく、その人の健康状態、暮らし方を聞いて、あなたは今、すごろくみたいなものに合わせるとここにいて、この暮らしを3年、5年続けていくとここへ行く。10年以内には亡くなる方が何パーセントだというようなことを言うと、これは大変だということで、生活習慣を変えていただくきっかけになるということも、尼崎市では取り組まれ、かなり実施されているようだ。我々もそのような心に響く、その人の生活を変えようというような技量を身につけてもらおうと現在保健師に勉強してもらっている。今後、保健師を茶の間のこの日に呼びたいということでお声がけいただければ、保健師を派遣する、あるいは総おどり体操を指導できる方を派遣するというようなことで、お集まりがより健康につながるようなことを考えていく必要があると思っている。できれば区役所と協働して、健康づくりにお力をお借りしたい。
質問5
医療介護連携ステーションについて
発言者
亀田第一病院では、新潟市からの委託で医療介護連携ステーションを9月から開設させていただいた。病院の中に電話も引いていただいているが、ステーションの電話はあまり鳴らない。一生懸命周知活動を行っている最中である。なるべく地域の皆様に存在を知っていただき、病院から退院する際にはスムーズに地域に帰っていただけるよう、ケアマネージャーたちと連携していきたい。
医療・介護連携担当理事
今年度、各区1か所ずつ医療介護連携ステーションを設置させていただいた。ステーションについては、どちらかというと地域の方のご相談ではなく、27の圏域のケアマネージャーなどの相談を受け、サポートするということが任務であるので、直接ステーションに住民の方からお話がいくのはまれな話になると思う。まずは何かご相談したいことがあれば、区役所の健康部門か、もしくは27の圏域の地域包括支援センターがワンストップの窓口になるので、そこからスタートするということでお願いしたい。今後、包括の部分と見守りの部分で皆さんにも汗を流してもらう部分もあるが、着実に頑張っていきたい。
質問6
情報の開示方法について
発言者
データをとることで情報が集約できると思うが、その開示方法についてお聞きしたい。個人情報保護の観点から広く開示できない部分があると思うが、一人住まいで近くに身内がいないという方も増えてきている。私は消防団にも属しているのだが、その辺の微妙なラインの情報の公開みたいなものは今後、今までよりも広げていかなければならないというような方向性はあるのか。
市長
個人情報との関係というのはなかなか難しい部分がある。民生委員には守秘義務があるので、一人暮らしあるいは災害のときに支援が必要な方を個人名でお届けできるが、それ以外の方には民生委員と同じ情報を持っていただくことはできない。そのような中で、災害時に支援が必要だという方には、その情報を持ってよいか、それぞれ個人にお聞きして、異論がなければ要援護というデータづくりをさせていただくということで進めている。
健康全体の話になると、例えばこれからデータをもらえる協会けんぽについては国保などと同じデータではなく、とらえ方が違うものになる。そのため、それを一緒にして30万が50万になったというわけにはいかないところがある。今後はそこを市で精査して、できるだけ現実的に近い情報に直してから、中学校区単位でお見せするというように進んでいきたいと思っている。
医療・介護連携担当理事
国保では新潟市が保険者だが、それぞれの保険者で個人情報保護審査会のようなものがあるので、そこで個人情報が漏れないような形に処理をしたデータを一元化するという方法で、現在は国保と後期高齢者と介護のデータを一元化させていただいた。しかし、これから分析を始めようと思っている働き盛りの40代、50代の方が多く入っている協会けんぽに関しては分析の仕方が違っており、個人情報としていただくわけにはいかないので、統計データとしていただくことになっている。場合によっては5人以下の地区の疾病データについてはマスキングされるなど、多少、データの精度が、現在市が行っているものとは少し違う形になる。今の30万人のデータに協会けんぽの20万人をそのまま合体はできないが、何とか見える化を行い、地域の健康度をお知らせしていきたい。データの見える化に関して、個人情報については出さないという形でさせていただく。
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