市長説明

最終更新日:2017年1月31日

平成28年度 地域ミーティング

市長説明

 今回のテーマは、健康寿命の延伸についてである。
 まず、新潟市の人口の推移についてだが、ずっと伸び続けてきたがピークは過ぎており、現在は微減、あるいは横ばいになっている。やがてかなり大きな人口減少になるということが国の人口問題研究所の予測である。人口問題研究所は、2010年の国勢調査のデータを基に、2015年に新潟市の人口は大体80万人を少し超える程度になるという予測をしていた。しかし、現実には81万人台を確保したので、予測に比べれば九千数百人上振れしたということになる。従って今後の人口も、取組み次第では良くなるかもしれないが、悪化するかもしれないので、しっかりと取り組んでいきたい。子どもの人口がずっと減少を続けているので、これを何とか横ばいから増加に転じさせたい。
 生産年齢人口も大きく減少していくことになる。これが新潟市の活力に影響すれば大変なことになるので、この対策もしっかりと行っていく必要がある。高齢者は当分の間増えていくので、この高齢者にどのように対応していくかということが今日のテーマの大きな部分だと考えている。
 介護を必要とする方は、ずっと増え続けている。平成26年で4万人に近づいていたので、現在は4万人を超えていると思う。これを市としてどうしていくのか。国では、超高齢社会をこのように乗り切っていくのだという一応の青写真を示している。これまで新潟市は、特別養護老人ホームなどの介護施設の整備を5年間前倒しするということで、施設の充実を図ってきた。施設の整備については、今後も頑張っていきたいと思っているが、それだけに力を入れると介護保険料に跳ね返る。現在、新潟市の介護保険料は、政令市20市の中で大阪市に次いで2番目に高いというところまできている。これはその分、施設が充実したのだというように受け止めていただければありがたいが、施設だけを頑張るわけにはいかない。国は在宅の医療・介護を連携させていくという方向性を打ち出しており、市も今後は地域で医療・介護が受けられるということを考えていかなければならない。そのためには看取りまで行っていただける医療・介護・看護チームが必要であり、ありがたいことにこれは八つの区すべてで立ち上がっているという状況である。しかし、もう少し詳しく見れば、区の中で空白エリアに近いところや、人口当たりの医療・介護・看護チームのパワーが足りないという状況もあるので、市も医療・介護・看護チームの立上げを全力で支援していく。また、小規模多機能施設なども作っていく。かかりつけ医もぜひ活用いただきたい。住宅が整っても、家では医療・介護を受けられる状態にないというお宅も多いので、今後、さらにお住まいのリフォームを行っていただく。
 健康寿命を延伸することで、土台をしっかりとさせていく。住まいと健康も関係があるのだということが、現在、あちこちで報告されている。イギリスでは、室温10度以下は住宅として認めないというようなところまで国として規制している。市でもリフォームをするときにもう少し断熱も心掛けていただけるよう留意していきたいと思っている。
 次に、新潟市がなぜ健康寿命にこれほど熱心に取り組む必要があるのかということについてである。政令市20市で比較すると、新潟市の女性の平均寿命はナンバー1であり、男性は真ん中よりやや下で直近のデータは13位である。健康寿命を見てみると、男性はほぼ全国平均並みだが、平均寿命はもう少し長いので、不健康な期間が長くなっている。女性は、健康寿命は少し全国平均を上回っているようだが、平均寿命はさらに長いので、不健康な期間がむしろ男性よりも長いというデータがある。これはご本人やご家族も大変であり、強いて言えば新潟市の財政も大変になるということなので、健康寿命についてはスペシャルテーマとして考えていかなければならない。
 次に、介護度の人口割合についてである。要介護2以上は、全国平均は10パーセントを切っているが、新潟市は11パーセントに近づいているという状況である。そのため、例えば、要支援1、2の方に健康状態に戻っていただく、介護度を下げていただくというような取組みを同時並行で行っていく必要があると思っている。では、なぜ介護が必要になるのか。重度の介護認定者の一番の原因は脳血管疾患であり、これを起こさないようにしていくことが重要である。
次に、人口動態の標準化死亡比である。人間は、いつか何らかの理由で亡くなるが、その亡くなる理由を並べ、全国平均を100とすると、新潟市はどのような特徴があるかを見る。脳血管疾患は、男女ともに心配な状況であり、胃がんも10ポイント以上多い。これを区別に見るとよりはっきりと特徴が見えてくる。西蒲区は脳血管疾患が全国に比べて極めて多い。逆に言えば、この脳血管疾患を起こさないように改善をすれば、西蒲区の寿命は劇的に延びる可能性があるとも思われる。今後、このような医療データを整えて、市民の皆様に見ていただこうと思っている。
 なぜ脳血管疾患になるのか。これは生活習慣というものが大きく影響している。食べ過ぎ、運動不足、たばこ、お酒、ストレス、これを放置していると、高血圧症、糖尿病、脂質異常症などが出てくる。高血圧をさらに放置していると血管の弾力性がなくなって傷つきやすくなる。さらさら血液がどろどろになり、そしてとうとう動脈硬化がすすんで脳血管疾患などの重症疾患になってしまう。そんな流れを市民の皆様によりご理解をいただきたい。そのためには、保健、医療、介護のデータを分析する必要がある。現在、国保加入者20万人、後期高齢者医療保険加入者10万人という30万人分のデータを整理し、皆様に見ていただけるようにした。協会けんぽの方も20万人ほどいらっしゃるので、それを加えた50万人のデータを見ていただいて、できれば中学校区単位で健康度を見える化して、何に取り組めば良いのかということを皆様に知っていただこうと思っている。
 それでは、どういう改善をしていただくかということである。まず生活習慣に気を付けていただき、改善をしていただく。高血圧は、塩分の取り過ぎが危険因子であるので、そこに気を付けていただく。早期発見、早期治療が重要だということで、そのためには、特定健診をぜひ受けていただきたい。その特定健診で少し心配な方は、保健指導を受けていただいて、病気にならないように改善していただく。患者予備群、あるいは治療の必要があるという診断が出た方は、お医者さんにしっかり行っていただき、合併症の発症を防ぎ、重症化予防をしていただくということが重要である。
 その特定健診だが、なかなか受けていただけない。北区、南区、西蒲区では、6割の方が3年連続健診を受けていないという状況である。最も多く健診を受けている江南区でも半分の方が3年連続未受診である。
 一方で、重症疾患で倒れた方の6割は健診を連続して受けていらっしゃらない方ということである。早期発見、早期治療のために健診を受けていただくことが大変重要だという情報をより市民の皆様にお届けしていきたい。国保に入っている40歳から64歳の方の8割が特定健診を受けていない。全国調査によれば受診しない理由を見てみると、具合が悪いときはお医者さんに行ける、時間が取れない、面倒だということで、些細な理由が重大な結果を生むおそれがあるのだということも知っていただきたい。
 次に、健診受診率を上げる取組みについてである。まず受診券を見直し、少し目を引くような受診券にさせていただいた。また、一方では、受診していただくとプレゼントが当たるかもしれないという動機づけを始めている。
 次に、塩分についてである。塩分の取り過ぎは血圧を上げるリスクがあり、胃がんのリスクの一つにもなる。新潟市は胃がんで亡くなる方の率が全国平均より10ポイント以上高い。このようなことを知っていただいて、塩分に気を付けていただく。特に新潟市は政令市、あるいは県庁所在都市などの主要52市の中で、食塩購入額が第1位である。塩鮭は第1位。味噌、カレールー、カップ麺は2位。たらこは福岡市、北九州市に続いて3位ということで、新潟市民の食卓はしょっぱいものが並んでいるのだということを少し意識していただきたい。
 次に、塩分を減らすためにはどうするかということについてである。塩分を減らす「ちょいしお生活」に取り組んでいただき、野菜のおかずも増やしていただきたい。一番心配な西蒲区でまず食塩の摂取量調査を行い、順次、拡大をしていきたい。そして、農家レストラン、あるいは有名料理店などで減塩メニュー、野菜たっぷりメニューを提供いただくことで、気づきのきっかけにしていただきたいということで、現在、協議中である。西蒲区では減塩レシピを作成中なので、出来上がったら全域で活用いただきたい。
運動も重要である。65歳から74歳は運動する人が多い傾向にある。40歳から64歳は、まだ健康は大丈夫だということでなのか、運動する人が少ない傾向である。
 各区で取組みも行っていただいている。
 南区の「はかろう体重!大作戦」は、毎日体重を測って記録することで自分の体重を意識し、少しずつ見直すことで身長に合った体重に近づけていただこうという取組みである。しかし、なかなか取組みの輪が広がらないというのも現実である。
 秋葉区では、ロコモティブシンドロームを予防する運動を行おうということでPPK48がデビューした。PPKはぴんぴんころりの略ということで、行政が使いにくい言葉を活用していただいて、輪を広げていただいているという状況である。
 新潟市もさまざまな取組みを行っている。運動では、健幸サポート倶楽部、運動講座、講習会、体しゃっきり体操、元気教室などを行っており、健康管理についても、講演会、予防セミナー、相談会、教室、健康教育などを行っている。しかし、全国どこでも3割の壁というものがあり、健康づくりに一生懸命取り組んでいらっしゃる方は3割で、この3割の方がこれらをぐるぐる回って健康に取り組んでいるという可能性がかなり高い。
 歯の健康については、新潟市歯科医師会のご協力もあり、新潟県民の歯の健康は全国でナンバー1というデータがずっと出ているということで、非常にありがたく思っている。
 また、これから認知症がかなり増えてくるという予測が出ているため、認知症を特別の問題として取り組む必要があると思っている。
 では、その3割の壁にどのように挑戦するかということである。市では、健康づくりとまちづくりを徹底連携させようというスマートウェルネスシティ、健幸都市づくりの取組みを数年前から始めている。例えば、歩いて楽しい環境、自転車や公共交通で便利に移動できるまちを作っていくことで、自然と歩く歩数が伸びるというデータがある。これを今後も取り組んでいく。健康に熱心な方には大いに教室のイベントに参加いただき、健幸マイレージを差し上げるということで、より動機づけを図っている。健康づくりはもちろん、環境に良いことをした方にも未来ポイントを差し上げるということでICカードにポイントを付け、ポイントに応じて商品券に換えられるというような取組みをさらに進めていきたいと思っている。
 そして、連節バスなどを活用したBRT新バスシステムについてだが、昨年の9月にスタートさせていただいて、今年の8月で1年間のデータがそろった。これまでの10年間、大体毎年4パーセントほど減っていたバスの利用者が、この1年はわずかではあるが0.8パーセント増加した。新潟交通は今後も改善しながらこの方式を実施していけば、バスは頑張れるということで、かなり積極的になってきている。その新潟交通と一定の信頼関係をもって、65歳以上の方はりゅーとカードを持っていただくと半額になるというシニア半わりをこの9月から実施している。これは区バス・住民バスも半額になる。これでまちなかに気軽におでかけいただいて、いろいろな楽しみを気軽に実感していただいたり、いろいろなものに関心を向けていただくことで、まちなかの活性化にもつなげていただき、その結果、シニアの方が元気になるという健康寿命の延伸にもつなげたい。
 今後は特定健診を早く受けていただいて、早期発見、早期治療につなげたい。減塩などの食生活、生活習慣の改善に全域、市民ぐるみで取り組んでいただき、健康寿命の延伸を実現したい。日本一健康な都市新潟と言っていただけるように、皆様とともに頑張りたい。

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