南区意見交換1
最終更新日:2017年1月4日
平成28年11月27日(日曜)午前
質問1
健幸マイレージについて
発言者
健幸マイレージについて、単純に健康づくりや運動だけではなく、社会全体で取り組んでいくべきではないかと考えている。例えば、食であれば、減塩メニューを出しているレストランを健幸マイレージの参加加盟店にしたり、このメニューを食べれば健幸マイレージのポイントが付くというような取組みはどうだろうか。地域づくりに関しても健康の要因になると言われているが、担い手不足問題もある中、地域づくりに参加している人にはポイントが付くといったようなことも検討いただきたい。さらに、市長も説明されていたように、住居内の温度も健康に関わってくることから、断熱工事をした場合には健幸マイレージを付けるなど、皆さんがもっと積極的に断熱工事に取りかかるような社会の仕組みにしていただきたい。
市長
健幸マイレージ、あるいは未来ポイントということで、未来ポイントの場合は、環境に良いことをポイントにさせていただくということで始めさせていただいた。これからより良い方向に拡充をしていきたい。
現在、地元の素材を使っている地産地消の店にはのぼりを立てさせていただくなど、さまざまなところでPRをさせていただき、インセンティブを付与させていただいている。
これからは、すばらしい農産物を生産している農家に光を当てていきたい。「ピースキッチン新潟」という一般社団法人が動き出し、その法人の最初の事業がレストランバスの運行になったが、このピースキッチン新潟運動の最大の柱は、良い生産者に光を当て、意欲のある料理人と結びつけていくということである。そのような意欲のある店を検証し、頑張っている農家に光が当たって、お金が回るということが一番ありがたいことである。農家レストランも3軒オープンして大繁盛しているが、支持されている最大の部分が、地域の良い農産品を使っているということである。農家レストランではない店でも、地域の良い農産物、魚介類をしっかり使って食事を提供するということも、ピースキッチン新潟運動になると思う。光の当て方はさまざまあると思うが、ポイントにもできないかという観点をこれから常に入れていきたい。
そして、住宅の保温についても、室内の温度は非常に重要だという医学的な根拠ができつつある状況なので、住宅関連企業の皆様とシンポジウムなどを開催した。今後はこのような方向が大事であり、その動きは全国的に広がりつつあるが、新潟市もその運動の一翼を担いつつある。当面は、住宅リフォームを支援するという形の光の当て方にさせていただいているが、今後、ポイント化も含めて、良い暮らし方、健康づくり、新潟の食文化創造に貢献している方に光を当てていくのだということを、より明確にしていきたい。
質問2
健診後の指導について
発言者
健診を受ける人は多いが、その後の指導を守る率との間にはギャップがあると感じている。これをどうしていくかということも考えていただきたい。
市長
そこが非常に重要なポイントである。健診を受けて、異常がある、あるいはグレーゾーンだということで受診するように言っても数パーセントが行かないという結果も出ている。昨年、尼崎市にカリスマ保健師がいらっしゃるということを聞いて、新潟市の幹部職員と保健師の前で講演をしていただいた。彼女の話によると、日本全国で、塩分を控えましょう、運動もがんばりましょうというような「ましょう」の保健指導で終わっており、この「ましょう」の推奨では、実際に生活習慣の改善はできないということだった。そして、尼崎市役所は、職員の定年前の死亡率が高いということで、保健師がディスカッションを行い、今のあなたの健康度はどの段階で、これを3年間、あるいは5年間放置していくと、このような状況に陥るということをもっと明確に言ったほうがいいのではないかということであった。
現在は健康のチェックシートというものを作り、そのチェックシートを見てもらうことで、かなりの方が危機感を感じてお医者さんに行く、あるいは健康を自らチェックして、来年、もう一回、保健師から保健指導を受けたいという率が非常に増えているようだ。尼崎市では、自らの保健指導で生活習慣改善に結びついたか、それが来年度の再受診に結びついたかということを保健師の評定の材料にしており、カリスマ保健師も自らその評定の中に入って、毎日真剣勝負をしているということを聞き、これは非常に有効であると思った。私どもも、尼崎市と連携させていただいて、保健師の指導の手法や最新の健康情報を取り入れて、個人の心に響く保健指導を行わなければならないと、現在、保健師に研修を受けてもらっているという状況である。
現在、保健師がさまざまな書類作成に追われているという現状があるが、書類作成については保健師の資格がなくてもできるので、保健師本来の仕事に集中してもらえるようにしていきたい。
今度、南区でも地域包括のモデルハウスを作っていただくが、一番初めにスタートした東区の実家の茶の間では、毎月特定の日には保健師がいるという体制をつくり、保健師への健康相談やチェックシートで健康状態を自らチェックするというようなことを、茶の間に行く動機にしていただきたい。フィンランドには、身近なところでいつでも保健師に相談できるネウボラという制度があるが、その新潟市版をできるだけ早く作っていきたいと思っている。
質問3
がん検診について
発言者
検診を受けた中で、がんの発見率というものがデータとしてあるのかお聞きしたい。
医療・介護連携担当理事
がん検診の際の発見率についてのデータが、本日は手元にない。しかし、検診のときに発見したものと、症状が出てから医者に行って治療したものの差は、県のレベルでデータが出ている。例えば胃がんでは、検診で発見された場合の5年生存率は94.8パーセントだが、症状が出てから医者に行くと53.4パーセントに下がる。やはり検診を受けていただくことが大切なのだとデータはしっかり示している。残念ながら、平成26年度の胃がん検診の受診率が23.3パーセントであるので、この辺をもう少し理解していただき、受診率を上げていくことを頑張りたい。
市長
新潟市は胃がん発症率の高さが大変心配な状況である。まだバリウムと胃カメラとの精度の差が医学的根拠にまでなっていないので、胃カメラ推奨とは国は言わないが、実感として胃カメラの方が精度が高いということで、新潟市は胃カメラ推奨で続けている。これは全国的にも注目されており、新潟市がこれを積み上げていくと、それが医学的根拠になるのではないかと言われている。しかし、検診の受診率全体が低いので、これを上げていく必要があると考えている。今後、皆様が検診を受けたほうがいいと思っていただけるようなデータを国に求め、我々もそれを作り出していただきたいと思う。
他の発言者
私は消化器内科の専門医であるが、胃がん検診で早期発見をするということは非常に大切だと思う。レントゲンは間接撮影であり、胃の透視は直接撮影である。早期胃がんは色の変化で分かるのだが、レントゲンでは白黒画像で分からない。そのため、胃カメラによる胃がん検診を必ずやってほしい。
市長
医師の方に参加していただき、大変ありがたい。
ピロリ菌の除菌の有効性も医学的根拠はないと国は言うが、市としてはピロリ菌は除菌してもらうほうが良いと思っている。これも国の医学的根拠を待たずして、市として推奨を行わせていただき、また、胃カメラでなくてもピロリ菌を持っているかどうかの検査ができるので、その場合は除菌していただくことを推奨している。
質問4
地域包括ケアと交通インフラについて
発言者
現在、障がいのある方々が土日に過ごす場所がなく、あっても中央区などに行かなければならず、そこに行くための交通手段がない。特に南区は交通手段がないので、介護予防の場所を作っても、そこに行く手段がない。現在、高齢者の運転事故などが起きているが、免許証を返還してしまうと移動手段がなくなり、住み慣れた地域にはいられるが外出する機会がなくなってしまう。土日に過ごせる場所を作っていただき、そこにどのように通ってもらうかということも考えていただきたい。
市長
これは全市的にも大変な課題である。現在、モデルハウスの実家の茶の間には、幼児、高齢者、障がい者、すべての方に来ていただける。これまでは旧新潟市で老人憩の家というような形で世代を限定した居場所を設けてきたが、これからはさまざまな世代の方が集まる居場所が必要であり、区の中に1か所ないしは2、3か所、そしてさらにはもっと身近なところに簡易型でも居場所を作るという両方が必要だと思っている。そのような中で、南区は集落が多く、交通が弱いという特性があるが、これをどうするかということは非常に重要なテーマであり、行政だけでは解決できない。やはり地域の方や民間企業の方、あるいはボランティア、NPOの方と総力を合わせて、超高齢社会をどうすれば安心に過ごせるかと考えていく必要があると思っている。
その中で、まずは基礎自治体が要支援の責任を持つという転換点をうまく乗り切り、その次を迎えたいと思っているのだが、国は要介護1、2も基礎自治体に持たせたらどうかというようなことをつぶやいていた。このつぶやきは今回は収束したようだが、これは地域の皆様にとっても大変なことであり、我々にとっても要支援を頑張ろうとしているときに、介護1、2の責任を負うことは負担である。
新潟市は、実効性のある地域包括ケアシステムを作らなければならないが、本市にはまちなか型や田園型、小集落点在型もあるので、大変なテーマである。これは行政だけでクリアできるというレベルではないということも事前にお知らせしながら、地域の最適なやり方を地域で考え出し、実践をしやすい制度を作っていくということが大事である。現在はまだ全体の抽象論だが、来年以降、待ったなしで進んでいかなければならない。まずは、南区全体の包括支援のモデルを作り、そこで人材研修などを進めさせていただき、研修を受けた方々がそれぞれの地区に戻って、毎月何回かこのようなことができるというようにしていきたい。これも運輸局が絡んで難しいが、運転支援などの生活支援があってようやく成り立つということだと思う。非常に重いテーマであり、今すぐこうするということを明確に言えない。皆様と一緒にチャレンジしていきたいと思う。
質問5
AEDをコンビニにも設置してほしい
発言者
一次救命処置において、心肺蘇生や人工呼吸といった処置と同時にAEDによる心臓マッサージが重要になってくるが、身の回りでAEDが非常に不足している。そして、公共施設にあるものは夜には使えない。そのため、24時間営業のコンビニなどへの設置をお願いすると同時に、実態調査をすることによって、より多くの設置を期待したい。
市長
AEDは非常に重要だが、ご指摘のとおり公共施設は夜は閉まっているため、コンビニなど民間の力を活用しなければ安心安全なまちにならないということで、民間もすでに動き出している状況である。コンビニへの設置については、南区のコンビニをどれだけ把握しているかという問題もあると思うが、その辺りも含めて区長から今の到達点を話してもらう。
区長
AEDはさまざまなところに設置されているが、自ら設置するということが基本になっている。南区のコンビニはそれほど多いわけではないが、AEDをコンビニに置くことによって、皆様の命を救えるのであれば、コンビニにAED設置に向けて積極的に働きかけていきたい。しかし、最終的な判断はコンビニが行うことになる。
質問6
尊厳死について
発言者
治らないと分かっていながら、70歳を過ぎて抗がん剤の副作用で苦しんでいる方を何人も見てきている。尊厳死、安楽死ということも考える時代に入ったのではないかという私感だが、市長のご見解をお聞きしたい。
市長
これは重いテーマであり、また一人ひとり考え方が違うのだろうと思う。現在、日本ほど延命治療が進んでいる国はないという情報も出始めている。今後、自らがどのような最期を迎えることを望むのかを、具合が悪くなって判断できなくなる前にしっかりと書いておくことが重要になる。例えば、私の同級生も若いときに倒れたのだが、当時胃ろうを付けて今では車椅子で自由に動けるようになった。一方、老衰に近く寿命が尽きそうなときに胃ろう、あるいはいろいろな管をつけることを私は望まないと、しっかり意思表示をされている方も増えてきていると聞いている。手術をする選択、痛みに対する治療のみをする選択、医療・看護チームの支えのもとで在宅医療を受けて最期を迎えるという選択など、選択肢がある。今後本人、家族がどのように選択していくのかということになる。
これまで在宅で亡くなる方が人口当たりで一番多かったのは長野県だったが、この3、4年で急速に変わってきており、現在は東京都が一番多く、その半分が孤独死だそうだ。厚生労働省は、2040年には、病院や介護施設に入れない、しかし在宅で最期を迎える状況にないという死に場所のない方が49万人に増えるだろうという予測を出している。
先日、人口30万人台の東京23区の区長が、うちは孤独死が300人いるとおっしゃっていた。このようなことが東京で起きている。
孤独死には、仕方のない突然死や事故死、あるいは自死も含まれているが、悲惨な孤独死を新潟市で認めるわけにはいかない。そのためには、今から在宅で介護、医療を受けられるという新しい仕組みを作り出さなければ、2025年、2040年に大変なことになりかねないのだということを、まず皆様に情報としてお届けして、その中で自分ができることは何かということを一人ひとりに考えていただく。そのようなきっかけを今回の地域ミーティングでキックオフさせていただきたい。そして、より健康寿命を延ばすということは皆様の願いだと思うので、そのためには健康度を見える化してお届けすることで、うちの地域はこれが大事だということを考えていただく。そのようなことが行政の責任の一つであり、本格的にスタートできつつある。
今回、大変ありがたいのは、医師の方がほとんどの区のミーティングに出席してくださり、実際に起きていること、事実の裏打ちがあることをお話くださって、大変参考になっている。そのようなことを繰り返し、健康寿命、地域包括を両輪とした取組みを続けていきたい。私自身もどのような最期を迎えたいかということを考えざるを得ない年代なので、新潟市で最期を迎えられてよかったと思える地域づくりもこれから皆様とともに進めていきたい。そのような地域の新しい支え合いを南区から作り出していきたい。
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