(3-1-1)自宅車庫前の街路灯の移設を要望したが対応してもらえない

最終更新日:2021年8月20日

(3-1-1)自宅車庫前の街路灯の移設を要望したが対応してもらえない

令和3年2月24日 苦情申立受理

申立ての趣旨

 自宅車庫前に設置されている街路灯の位置が、毎日の車の出し入れ時に支障となっているので、昨年10月から区に移設を要望しているが対応してもらえない。

申立ての理由

 昨年10月、区長への手紙等を介して 1) 車庫前の縁石の調整 2) 街路灯の移設 を要望している者です。A
区(建設課)からの回答内容に理解、納得できず、本申立てを行っています。
 区から示された内容は、順を追うと
・個人の利益となることはしない
・歩道用の照明ゆえ、車両のために移動できない
・縁石を下げれば、車両の進入制限の役割が阻害される
で、最終的には、1) 2) の要望に共通して、道路交通法を引用し、「同法(第17条と思われる)で言う例外的な横断にあたらない」というものです。車体の一部被さりの適否を判断するのに、道路交通法での「横断」の概念を持ち出し、それを根拠とすることに違和感を覚えます。また、理由が二転三転しており、どれを理由とするのかを尋ねても回答はありません。
 最終回答では、「歩行者の安全優先の視点から歩道内へ車体が入る施工は認められないと当初から一貫して伝えている」とのことですが、回答の都度、理由が変遷し、また歩道側の縁石の工作、街路灯の移動によって、どのように歩行者の安全が阻害されるのか繰り返し説明を求めても、具体的な回答がなされない状況です。また現地立会い時の「組織としての回答だ」とする発言についても、その真偽のほどを尋ねても、それに答えることなく、いつ行われたか承知していない2回目の調査を持ち出して、「これは組織としての回答だ」と。このような失礼極まりない対応がまかり通るのでしょうか。縁石の扱いについても、車両の進入の制限のためという回答に対して、歩道側の高さ調整が車両の進入にどのような負の影響を及ぼすのか説明を求めても、それに答えることなく、返ってきたのは道交法を引用したものの内容です。自ら回答した内容に市民が尋ねても答えない、論点をはぐらかす、理由が変遷する、これが誠実な一貫した回答と言うのでしょうか。結論は一貫していますが、その根拠とする説明はその場しのぎの軽薄な内容にしか思われません。
 離合が困難、狭いT字路等での右左折時等、車体の一部が歩道等に被らなければ走行できない道路事情を抱える地域でも、新潟市では今回のような対応をしているのでしょうか。切り返しによる滞留は受忍の範囲内ということでしょうか。住民の福祉の向上という視点からすれば、街路灯の移動により照明に支障が生じるでもなく、滞留が解消されるなら、しかるべき対応を講じても然るべきではないでしょうか。幅の広い、歩行者も疎らな歩道内に設置されている街路灯の僅かな移動が、なぜできないのか理解できません。「歩行者の安全確保」はもちろん大事な概念ですが、今回は、それを御旗にしたマニュアル的な行政の不作為のように思われます。
 以上、1) 街路灯の取扱いについて、現地の状況を踏まえたところで検討頂きますようお願い申し上げます。2) 市民の声を聴く立派な仕組みを生かすべく、今回のような不誠実と思われる対応については、市の将来の発展のためにも、改善に取り組むべく、関係部署に提起されるよう、要望させて頂きます。なお、縁石については、窮屈ながらも出し入れができている状況ですので、要望からは外させて頂きますが、現地調査の機会があれば、この状況もご覧になって頂ければ幸いです。区長への手紙、市長への手紙をお目通し頂ければ、経緯等が把握できるかと存じます。調査、検討のほどよろしくお願い申し上げます。

所管部署

 A区建設課(以下「所管課」という。)

調査の結果

 令和3年6月21日 決定

 所管課の対応に非があるとは認められない。

調査結果の理由

 当審査会では、申立人及び所管課からそれぞれ資料を提出してもらい、所管課より聞き取りを行った。
 申立人の苦情の内容は、申立ての趣旨及び理由に記載されているが、これを整理すると次のとおりになる。
1 自宅車庫前に設置されている街路灯の位置が車の出し入れ時に支障となっているため、移設を要望しているが対応してもらえない。
2 今回の要望からは外すものの、車道と歩道を区分する縁石について、本来は歩道側の高さを調整する(歩道部分と縁石上部の高さの差を小さくする)ことを要望しているが対応してもらえない。
3 所管課が説明する上記要望に対応できない理由が、次のとおり二転三転しており、その場しのぎの軽薄な内容にしか思われない。
1) 個人の利益となることはしない
2) 歩道用の照明ゆえ、車両のために移動できない
3) 縁石を下げれば、車両の進入制限の役割が阻害される
4 歩行者の安全確保は大事であるが、それを御旗とした不作為となることなく柔軟な対応をするべきではないか。

 次に、上記1~4の前提となる事実関係を整理すると次のとおりである。
ア 申立人の自宅の車庫は幅約3mの車道に面しており、車道の反対側には歩道が設けられ、車道と歩道の間は縁石で仕切られている。
イ 申立人が移設を要望している街路灯は歩道を通行する歩行者用のものであり、歩道内のうち車道との境界である縁石に接するようにして(すなわち、縁石を挟んで車道に接するようにして)設置されている。
ウ 車道と歩道を仕切る縁石については、申立人の自宅前付近では車道と縁石上部の高さの差は数センチメートルと小さいが、歩道と縁石上部の高さの差はそれよりも大きい。
エ 申立人が自宅の車庫から車を左折する形で道路(車道)に進入しようとすると、車両の右前部が街路灯に衝突しそうになるため、申立人は何度も切り返しを行う必要があり、そのため申立人は街路灯の移設を要望している。

 以上を踏まえ、当審査会では、前述の申立人の苦情の内容について次のとおり検討した。
1について 
(1) 道路交通法第17条は「車両は、歩道又は路側帯(以下この条において「歩道等」という。)と車道の区別のある道路においては、車道を通行しなければならない。ただし、道路外の施設又は場所に出入するためやむを得ない場合において歩道等を横断するとき、又は第47条第3項若しくは第48条の規定により歩道等で停車し、若しくは駐車するため必要な限度において歩道等を通行するときは、この限りでない。」と規定している。
(2) 換言すれば、車両は、やむを得ない場合を除いて歩道又は路側帯(以下「歩道など」という。)を通行することが禁止されている。なお、通行禁止とはタイヤが歩道などを通行することが禁止されるのみならず、車両のうちタイヤよりも外側の部分が歩道などの上部に被さるような状態になることも禁止されると解されている。この点は、歩道などを通行する歩行者の安全を確保するという意味で当然の解釈と言える。
(3) 上記によれば、駐車場もしくは車庫(以下「車庫など」という。)が歩道に面していて、車両は歩道などを横断しなければ車庫などに出入りすることができない場合には、車両は歩道などを横断(通過)することができる。これに対して、申立人の自宅の車庫のように、車庫などが車道に面していて、車道の反対側に歩道などが設けられている場合には、車両は歩道などを通行することを禁止される。
(4) 申立人が移設を要望している街路灯(縁石を挟んで車道に接するように設置されている街路灯)を移設すれば、その部分を車両が通行する(車両のうちタイヤよりも外側の部分が上部に被さるような状態になることを含む)ことが容易となってしまう。すなわち、申立人の要望にしたがって街路灯を移設すると、道路交通法に違反する行為を作り出しやすくしてしまうこととなる。
(5) この点に鑑みれば、所管課が街路灯の移設に応ずることができないのは当然と言える。
2について
 この点については、申立人が今回の要望からはずしているため、検討しない。
3について
 所管課の申立人に対する説明内容について、所管課が要望に応じないことの理由が変更している(申立人が言うところの「二転三転している」)というものではなく、全てが理由であり、複数の理由を、順次、説明しているに過ぎないものであることが理解できる。
4について
(1) 一般論として行政の遂行に際しては柔軟な対応が望ましいことは当然と考えるものであるが、他方、歩行者の安全確保は極めて重要な課題であり、これに優先する行政課題が認められることは通常では考えにくい。したがって、柔軟な対応が望ましいとしても、歩行者の安全確保が低下するような対応を取るべきでないことは当然である。
(2) 申立人の要望に応じた場合には、道路交通法に違反する状態が発生する可能性が高まることとなるが、歩行者の安全確保や道路交通法の趣旨に鑑みれば、行政として要望に応ずることができないことは当然と考える。

 以上より、所管課が申立人の要望に応じないことは相当であると思料する。
 よって、調査結果のとおり判断する。

このページの作成担当

市民生活部 広聴相談課

〒951-8550 新潟市中央区学校町通1番町602番地1(市役所本館1階)
電話:025-226-2094 FAX:025-223-8775

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