(5-1)障がい福祉事業者に対する監査の在り方

最終更新日:2023年7月5日

(5-1)障がい福祉事業者に対する監査の在り方

令和5年4月20日苦情申立書受理

申立ての趣旨

障がい福祉事業者に対する監査の在り方

申立ての理由(要約)

当社は障がい福祉事業を運営し、共同生活援助事業所を開設していたが、当社の事情により、令和5年2月28日に当事業を廃止する旨の届け出を行っていたところ、廃止までに20日しかない事業所に対して、令和5年2月8日に新潟市の担当課による実地指導が行われることになった。
実地指導の内容は、前もって提出した書類との照合や必要帳簿の確認などいわゆる「監査」が行われた。
監査による指摘は、書類の作成不備や未熟な事務処理の指摘で、開設間もない事業所の初歩的なミスが大半であり、
(1)不正受給や悪意による書類改ざんなどではない。
(2)障がい者へのサービス内容に問題はなく、感謝はされたが実害が生じたわけではない。
(3)障がい福祉課担当職員は、許認可権のある立場でサービス料の返還請求など強い権限で指導している。これは行政指導の範囲を超えた行政処分といえる行為である。
行政指導なくして取締りと返還請求の実地指導の在り方は、福祉事業者を委縮させることにつながっている。

所管部署

福祉部福祉監査課(以下「所管課A」という。)
福祉部障がい福祉課(以下「所管課B」という。)

調査の結果

令和5年6月30日決定
所管課の対応に非があるとは認められない。

調査結果の理由

当審査会では、申立人及び所管課から資料を提出してもらうとともに、所管課から聞き取りを行いました。
その結果、以下のような事項が認められました。
1.本件に関する事実経過は次のとおりでした。
(1)令和3年、申立人(法人)が設立され、共同生活援助事業所の開設を申請。同年11月1日、共同生活援助事業所「C社」として認可を受け、事業を開始した。
(2)令和4年3月10日~同月31日、所管課Aは、オンラインでの動画配信の方法で、令和3年度の集団指導を実施した。しかしながら、申立人(C社)からの受講報告はなかった。
(3)令和4年8月1日~同年9月20日、所管課Aは、オンラインでの動画配信の方法で、令和4年度の集団指導を実施した。この時も、申立人(C社)からの受講報告はなかった。
(4)令和4年10月、申立人は、D社にC社の事業を譲渡することを計画し、D社は共同生活援助事業所の開設申請を、申立人は令和5年1月末でC社を廃止する旨の届出を、それぞれ行った。
(5)令和4年12月28日、所管課Aは、申立人(C社)に対して、令和5年2月8日に実地指導を実施する旨を通知した。
(6)令和5年1月に、D社の申請が認可されるとの内定を受けていたが、1ヶ月遅れるとの連絡があり、C社の廃止日を令和5年2月28日に変更する旨を届け出た。
(7)令和5年2月8日、所管課Aによる実地指導が実施された。
(8)令和5年3月3日、実地指導の結果として次の通知がなされた。
(文書指摘)
 (ア)個別支援計画の作成における一連の業務が適切に行われていないため改善すること。あわせて減算及び返還処理を行うこと。
 (イ)処遇改善加算分が従業者へ配分されていない。賞与として配分できない場合は給付費を返還すること。
(口頭指摘)
 (ウ)利用者との契約書に苦情受付の窓口を追記すること。
 (エ)重要事項説明書に第三者評価の実施状況を追記すること。
 (オ)受給者証に必要事項を記載すること。
 (カ)事故防止マニュアルを職員に周知し、研修を行うこと。
 (キ)業務継続計画を策定し、必要な研修等を行うこと。
 (ク)感染症の委員会を設置すること。
2.本件に関する申立人の主張の要旨は申立の理由(要約)記載のとおりですが、これに加えて、申立人は、既に事業廃止届が提出され、事業廃止まで20日間しかない時点で指導が実施されたことについて、指導という名目でペナルティを課すことが目的であるように感じられるとして不満を抱いているとのことでした。
3.所管課の説明の要旨は次のとおりでした。
(1)申立人が事業を開始した後、所管課は、2回の集団指導を実施しているが、申立人からは受講報告がなく、受講を確認できなかった。
(2)国の指導指針では、集団指導は「新たに自立支援給付対象サービス等を開始した障害福祉サービス事業者等については、おおむね1年以内に全てを対象として実施する。」とあり、本市の要綱でも同様に定めているところ、2回続けて受講が無かったため代わりに実地指導を行う必要があると判断して実地指導を行った。
また、当事業所(申立人)が他の事業所に事業を承継する予定であったことも考慮し、このタイミングでの実地指導は、これまでの運営状況を確認する契機となり、それを承継後の運営にも活かせることから、今後を見据えて必要なものであったと考えている。
(3)障がい福祉サービスの内容や基準、サービス提供による報酬単価等については法律等で規定されている。ところが、実地指導の結果、申立人においては個別支援計画の作成における一連の業務が適正に行われていない等、基準を満たしていないことが判明した。
そのため、文書及び口頭により各種指摘をしたが、これは実地指導の結果を受けて行ったものであり、当初からこれを目的として実地指導を実施したものではない。また、当然ながら監査を実施したものでもない。
(4)既に支払い済みの給付費に係る費用の請求に対して誤りがあることが判明した場合には、過誤処理が行われる旨定められていることから、不正受給の意思や悪意の有無に関係なく過誤処理を行う必要がある。
今回の実地指導の結果、給付費の一部について受給要件を満たしていないことが判明したことから、要件を満たしていない給付費を返還するよう文書で指摘した。これを受け、申立人が自主的に返還することとして手続をコンサルタント会社に依頼した。
所管課としては、申立人の依頼を受けたコンサルタント会社からの求めに応じて内容の確認や助言は行ったが、行政処分は行っていない。
4.各種規定については次のとおりでした。
(1)国が定める指導指針においては、上記3(2)の所管課の説明のとおりの内容が規定されている。
(2)厚生労働省の部長通知においては、「要件に合致しないことが判明した場合、それまでに受領していた介護給付費等は不当利得になるので返還措置を講ずることは当然」との趣旨が記載されている。

以上によれば、所管課は国が定める指導指針にしたがって申立人に対する実地指導を行ったものであること。監査が行われたわけではなく、実地指導の結果、上記1(8)記載の問題点等が判明したものであること。所管課が申立人に対して返還するように指摘した給付費については、仮に申立人が任意に返還しなければ返還措置(行政処分)が講じられることになると考えられるものの、所管課は返還措置などの行政処分は講じていないことが認められます。
よって、所管課の対応に非があるとは言えないと考えます。

このページの作成担当

市民生活部 広聴相談課

〒951-8550 新潟市中央区学校町通1番町602番地1(市役所本館1階)
電話:025-226-2094 FAX:025-223-8775

このページの作成担当にメールを送る

本文ここまで

サブナビゲーションここから

令和5年度調査実績

注目情報

    サブナビゲーションここまで