(5-7)生活保護における葬祭費給付の運用に差別がある

最終更新日:2023年9月20日

(5-7)生活保護における葬祭費給付の運用に差別がある

令和5年6月22日苦情申立書受理

申立ての趣旨

生活保護における葬祭費給付の運用に差別がある

申立ての理由(要約)

私の息子であり、生活保護を受けていたAが、先般亡くなった。
生活保護を受けていたため、健康保険から脱退していた。
国民健康保険などに加入している者は、亡くなった際に葬祭費が給付されるが生活保護受給者には葬祭費が給付されない。
生前の状況が、生活保護受給者か自身による国民健康保険加入かによって、葬祭費の支給に違いがあることは差別であり、生活保護の制度が誤っている。

所管部署

福祉部福祉総務課(以下「所管課」という。)

調査の結果

令和5年9月15日決定
所管課の対応に非があるとは認められない。

調査結果の理由

当審査会では、所管課から資料を提出してもらうとともに聞き取りを行いました。
その結果、以下のような事項が認められました。
1.本件に関する事実経過は次のとおりでした。
(1)申立人の息子Aは独立して独居していたところ、生活保護を受給していた。
(2)先般、申立人の息子Aは他界した。
(3)一般的には、個人が死亡した場合には社会保険から葬祭費が支給されるが、申立人の息子Aの葬儀費用に関しては社会保険から葬祭費は支給されず、生活保護からも葬祭費は支給されなかった。
2.所管課の説明の要旨は次のとおりでした。
(1)前提として、国民健康保険は、被用者保険(共済組合等)に加入していない者を対象として、保険料を出し合い、疾病、負傷、出産、死亡について必要な保険給付を行うことを目的とする医療保険制度である。
(2)国民健康保険法では、被保険者の出産及び死亡に関しては出産育児一時金の支給又は葬祭費の支給等を行うものと規定されており、新潟市では、被保険者が死亡したときは、その者の葬祭を行う者(いわゆる喪主)に対し、葬祭費として50,000円を支給する。
(3)これに対し、生活保護は、日本国憲法第25条に規定する理念に基づき、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長する公的扶助制度である。
(4)生活保護は国民の最低生活の保障と自立助長を目的とした制度であることから、その対象は生きている「人」となり、被保護者が死亡するとその保護は終了することになる。そのため、被保護者(今回のケースでは申立人の息子A)が他界した場合、申立人の息子Aの保護費として葬祭費が支給されることはない。
(5)なお、生活保護を受給することになった場合には、被保護者は社会保険から脱退する。これによって、受給者は社会保険の保険料の支払義務を負わなくなる。また、医療費は保護費として支給されるため、医療費の負担もない。但し、社会保険から脱退するため、被保護者が死亡しても、社会保険から葬祭費が支給されることはない。
(6)ちなみに、今回のケースで、いわゆる喪主(申立人)が生活保護を受給していれば、喪主が受給している生活保護から保護費として葬祭費が支給されることとなる。しかしながら、申立人は受給者(被保護者)ではないため、葬祭費は支給されない。
以上によれば、所管課は法令の規定にしたがって対応していることが認められます。また、生活保護の制度趣旨に鑑みれば、被保護者(申立人の息子A)の保護費として被保護者本人の葬祭のための葬祭費が支給されないことはやむを得ないと考えられます。加えて、生活保護の受給者(被保護者)は社会保険の保険料の支払義務を負わない以上、社会保険から葬祭費が支給されないこともやむを得ないところです。
申立人が葬祭費の支給に関して疑義を抱いている点は理解できますが、制度の趣旨等に鑑みた場合、申立人の息子Aの葬儀に関する葬祭費が支給されないことはやむを得ないと考えます。
よって、所管課の対応に非があるとは言えないと考えます。

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市民生活部 広聴相談課

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